研究課題
細胞表面蛋白の糖鎖修飾は生物学的に重要な役割を果たしており、特定の糖転移酵素は癌の転移や薬剤耐性に寄与していることが知られている。一方、第一世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)であるGefitinibは、EGFR遺伝子変異をもつ非小細胞肺癌(NSCLC)において劇的な腫瘍縮小効果を示すが、最大の臨床的問題点は薬剤耐性であり、最も頻度の高い耐性機序としてEGFR T790M変異が知られている。このT790M変異を標的とする第三世代EGFR-TKIであるOsimertinibは臨床的に高い有効性を認めているが、Osimertinibに対しても薬剤耐性が獲得されてしまうため、その予後改善には新規治療戦略が必要である。本研究の目的は、EGFR-TKI耐性における糖鎖変化に着目し、その生物学的意義や機能を解析し、糖鎖分子を標的とした癌治療および耐性克服へ応用することである。現在までに、我々はOsimertinibおよびGefitinib耐性NSCLC細胞を樹立した。そしてレクチンアレイを用いた糖鎖解析を行った。今年度も引き続き、糖鎖解析および糖鎖を付加する糖転移酵素遺伝子の発現解析や機能解析を継続する。
2: おおむね順調に進展している
現在までに、研究代表者はOsimertinib耐性NSCLC細胞株やレクチンアレイを用いた糖鎖解析システムを確立している。
現在までに行っているOsimertinibおよびGefitinib耐性NSCLC細胞における糖鎖解析を引き続き継続する。またRNAseqを用いた糖転移酵素遺伝子などの網羅的発現解析やqPCRによる個別の遺伝子発現解析についても行ない、機能解析も進めて行く。またレクチン・ブロットによる糖鎖変化の解析についても行ってゆく。
次年度にも、OsimertinibおよびGefitinib耐性NSCLC細胞における糖鎖解析および糖転移酵素遺伝子の発現解析や機能解析を行うため。具体的な使用計画として、引き続きRNAseqやqPCRを行い、レクチンアレイのデータを基に糖鎖を付加する糖転移酵素遺伝子の発現解析や機能解析をする予定である。またレクチン・ブロットを行い、糖鎖変化の確認も進めてゆく予定である。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Thoracic Cancer
巻: 14 ページ: 1089-1097
10.1111/1759-7714.14853.
Cancers
巻: 15 ページ: 1170
10.3390/cancers15041170.