研究課題/領域番号 |
21K08192
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
安達 悠 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 主任研究官 (40749016)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 交差防御抗体 / インフルエンザ |
研究実績の概要 |
現在、抗原変異インフルエンザウイルスにも有効な“交差防御抗体”の誘導を目的としたユニバーサルワクチンの実用化が世界的に求められている。我々はこれまで蓄積した免疫学的データから着想を得て、新規ユニバーサルワクチン抗原の開発に成功して知財化を完了した。本研究では、新たなワクチンの科学的基盤の整備に向け、新規ワクチンにより誘導される極めて優れた交差性を発揮するヒト抗体 ”LAHレパトア” に焦点を当て、その性状を解明することを目的としている。 1年度はまず、ヒトメモリーB細胞におけるLAHレパトアについて解析した。LAHレパトアは、ヒトメモリーB細胞中におけるH3 HA特異的な交差抗体の約30%を占めており、その中には遺伝子的に離れたH1株にも結合可能な抗体クローンが存在していた。その存在比率は交差LAH抗体の約10%ほどであり、それらクローンの抗体遺伝子を調べたところ、いくつかの遺伝子が多く使用されていることが明らかとなった。 次に、LAHレパトアメモリーB細胞の性状解析を行うために、多パラメーターフローサイトメトリー解析の整備に着手した。現在、アイソタイプやフェノタイプ、活性化マーカーを同時に測定可能なパネルを準備し、さらにいくつかの表面マーカーを追加したパネルの整備を進めている。また、LAHレパトアを特異的に検出可能なプローブの準備も進めており、実験系の整備が完了し次第、解析を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の通り、おおむに順調に進行している。 抗体遺伝子の解析に関しては交差LAH抗体レパトアに関する情報が得られており、フローサイトメトリー実験系の構築に関しても基本となる染色パネルの整備は終了している。一方、LAHレパトアを特異的に検出するプローブ作製については未だ進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の第二年度の計画遂行のため、LAHレパトアを特異的に検出可能なプローブ作製に注力し、実験系の構築が完了し次第、メモリーB細胞の表現型の詳細に解析を開始したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の計画において多額の研究費を必要とするフローサイトメトリーを用いた解析について、実験系構築が全て完了していないため本格的に着手できていないため、次年度使用となった。実験系構築が完了し次第、当初の計画した実験に使用していく予定である。
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