研究課題
昨年度我々は、肺非結核性抗酸菌(NTM)症患者の喀痰検体より分離培養したNTM菌の菌種同定(亜種レベル)及び薬剤感受性検査の精緻化・簡略化を同時実現するMIGT-seq法の臨床現場における有用性を実証する前向き研究の結果を報告した。本年度我々は、同前向き研究に参加した患者コホートより分離した菌株中、3つの菌株がMycobacterium gordonae cladeに属する2つの新種に属する菌であることを見出した。我々は2つの新種をMycobacterium novusgordonae、Mycobacterium shingordonaeと命名した(論文投稿中)。また、同前向き研究に参加した患者コホートについて、既に1年以上の経過観察期間が経過している。我々はこの間に起こった菌株変化、それに影響を与えた臨床因子について現在MGIT-seq法を用いて解析を進めている。MIGT-seq法はMGIT培地で喀痰検体より分離培養したNTM菌株よりDNAを抽出し解析に用いるが、患者さんから採取した喀痰検体より直接抽出したDNAを用いて、その中に潜むNTM菌を同定できれば、検査に要する時間を大幅に短縮できるだけでなく、抗酸菌培養によるバイアスの影響を避けることができる。我々は患者さんから採取した喀痰より直接抽出したDNAをtarget capture法を用いて濃縮することによって(NALC-seq法)、このことを可能にした(論文投稿中)。マクロライド耐性は肺MAC症の予後を悪化させる重要な菌側因子である。我々は、多くの患者さんにおいて、獲得されたマクロライド耐性が時間経過により消失し再感受性化することを見出し、再感受性化に影響する臨床因子、菌側の再感受性化メカニズムについて検討した(論文投稿中)。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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