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2021 年度 実施状況報告書

ハイドロゲルによるがん幹細胞誘導システムによる悪性中皮腫の幹細胞マーカーの同定

研究課題

研究課題/領域番号 21K08196
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

杉野 弘和  国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (50802667)

研究分担者 津田 真寿美  北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30431307)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードハイドロゲル / 悪性中皮腫 / がん幹細胞
研究実績の概要

悪性中皮腫は現在有効な治療法が確立されておらず、今後罹患者の増加が予測されているため、新規治療の開発が要求されている。北海道大学腫瘍病理学教室で開発されたハイドロゲル(DN gell: double network gell)を用いた迅速な癌幹細胞誘導技術(Nature Biomedical Engineering, 2021)により中皮腫幹細胞の性状解析、治療標的分子の同定を行うことを目的としている。
悪性中皮腫の細胞株(211H, H2052, H2452, Meso4, H28)をハイドロゲル上で培養すると、すべての細胞株で腫瘍細胞が集塊を形成した。一般的な幹細胞マーカーとして知られるSOX2、NANOG、OCT3/4のmRNAをqPCR法で調べると、NANOG、OCT3/4の発現増加が確認できた。これによりハイドロゲルによる癌幹細胞誘導技術は、悪性中皮腫の細胞株にも応用可能であることが示唆される。次にハイドロゲル上で培養した悪性中皮腫の細胞株(Meso4)の遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイにより調べた。通常のpolystyrene dishやultra-low attachment surface dishで培養した比較対照群に対して、20倍以上の遺伝子発現増加を示す23遺伝子を同定した。細胞膜への局在が予測されている8遺伝子に着目して、qPCR法でも遺伝子発現の増加が確認できたのは4遺伝子であった。Meso4以外の細胞株(211H, H2052, H2452, H28)でも4遺伝子の発現をqPCR法で調べたところ、3遺伝子がMeso4と同様に発現増加を示した。この3遺伝子を悪性中皮腫の幹細胞マーカー候補遺伝子として解析を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度(令和3年度)の計画通りに、悪性中皮腫の細胞株のハイドロゲル(DN gell: double network gell)上での培養による形態変化や一般的な幹細胞マーカー(SOX2, NANOG, OCT3/4)の発現変化を観察できた。また、マイクロアレイによる網羅的な解析や、qPCR法によるmRNAの発現確認などで、悪性中皮腫の幹細胞マーカーの候補遺伝子として3つの遺伝子を同定するに至ったため。

今後の研究の推進方策

今後は計画通りに候補遺伝子の発現を調べ、令和4年度には癌幹細胞性の検討、令和5年度には候補遺伝子の機能解析を主軸として研究を進める。
また、ハイドロゲルに関する研究も進展しており、当初より利用していたDN gell (double network gell)以外にも、北海道大学では様々なハイドロゲルが開発されている。これらの新規ハイドロゲルについても有用性を示唆するデータが得られており、本研究でも利用することを検討している。具体的には、DN gell 以外の新規ハイドロゲルでも悪性中皮腫細胞の幹細胞性誘導を試みて、マイクロアレイ解析を行い、候補遺伝子の絞り込みや今後の幹細胞性誘導に利用する。当初の計画よりも強力な解析ツールとなることが期待できる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Effect of scaffold stiffness on hydrogel-induced cancer stemness of cancer model cells2021

    • 著者名/発表者名
      11)Yanpeng Sun, Masumi Tsuda, Lei Wang, Hirokazu Sugino, Jian Ping Gong, Shinya Tanaka
    • 学会等名
      The 39th Sapporo International Cancer Symposium
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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