研究課題/領域番号 |
21K08201
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北 賢二 金沢大学, がん進展制御研究所, 特任助手 (80625252)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肺がん / オルガノイド / 薬物耐性 / オシメルチニブ |
研究実績の概要 |
今年度は現在継続しているPDXモデル、および新たに肺がん症例でオルガノイド樹立を試みた。PDXモデルからはオルガノイド樹立を成功できなかったが、肺腺がんと診断された2例、粘液性腺がんで1例においてオルガノイド樹立に成功した。樹立できたオルガノイドは3か月以上継続し継代可能であり、また凍結保存再融解も行い、細胞増殖に問題ないことを確認した。肺腺がん症例の内、一例はEGFR L858R+T790M変異を持つ症例で、もう一例はEGFR exon 19 deletion変異を持つ症例であった。粘液性腺がんの症例はEGFR、ALK、KRAS、BRAFすべて陰性であった。また、これら樹立できた肺腺がんオルガノイドを、スライドガラス上に添加し、ホルマリン固定後、H&E染色を行った。オルガノイドのH&E染色では、肺腺がんであるかどうかの判別は難しく、今後腺がんマーカー等、判別方法の検討が必要である。さらに、このEGFR L858R+T790M変異を持つ肺腺がんオルガノイド培養で、オシメルチニブを培養液中に添加し耐性化を試みた。しかし、オシメルチニブの効果が顕著で、細胞増殖が極端に低下し、今年度内では耐性化することができなかった。また、オシメルチニブ耐性オルガノイドをSHOマウスの皮下に移植したが、生着しなかった。今後細胞数を増やし、再移植を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肺腺がんオルガノイド培養におけるオシメルチニブの効果が顕著で、オシメルチニブ耐性オルガノイドを作製できず、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き樹立できた肺がんオルガノイド培養液中にオシメルチニブを漸増添加し、オシメルチニブ耐性オルガノイドを作製する。 樹立できたオシメルチニブ耐性オルガノイドを薬剤スクリーニングし、標的分子となり得る分子を特定する。また、肺がんオルガノイドのDNA、RNAを採取し、エクソームシークエンス、RNAシークエンスを行い、オシメルチニブ耐性変異、RNA発現量を解析する
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