研究課題/領域番号 |
21K08202
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
阪本 考司 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00635633)
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研究分担者 |
芳川 豊史 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00452334)
若原 恵子 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00631433)
橋本 直純 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30378020)
猪股 弥生 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (90469792)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 肺線維症 / 急性増悪 / マクロファージ |
研究実績の概要 |
進行性難治性の肺疾患である特発性肺線維症において、死亡率の高い合併症である急性増悪の発症誘因として、大気中の微小粒子状物質への曝露と、マクロファージの異常活性化が指摘されている。維化肺における病的組織微小環境であるミトコンドリアDNAをはじめとするダメージ関連分子(DAMP)の増加が活性化マクロファージを誘導し急性増悪の素因となるとの仮説に基づき、「肺線維症急性増悪における肺内ミトコンドリアDAMP増加と自然免疫経路の関与の解明}を目的として実験を進めている。初年度となるR3年度は下記の研究項目に取り組んだ。 1)新たな肺線維症急性増悪動物モデルの作成:ブレオマイシン気管内投与に誘導されるマウス肺線維症モデルに対して大気中の微小粒子状物質が急性増悪を惹起するという仮説に基づき、共同研究者の猪股らにより大気中より分取されたPM2.5の肺組織及び肺細胞への曝露により惹起される炎症を評価した。PM2.5の気管内投与により正常マウス(C57BL6)の肺には気道周囲の一過性の炎症を惹起するが、呼吸や全身状態へ与える影響は軽微であった。またマクロファージのモデルとしてRAW246.7細胞へPM2.5を投与したところ、MIP2をはじめとする炎症性ケモカインの一過性の誘導を認めた。しかしより毒性のあるシリカナノ粒子への曝露に比べて反応は軽微であった。 2)肺線維症におけるミトコンドリアDNAの制御と病態形成への寄与の検討:ブレオマイシン肺傷害モデルにおいて組織環境におけるミトコンドリアDNAの上昇があるかを肺胞洗浄液で検討した。またヒト肺線維症における肺内ミトコンドリアの変化を検討するため患者BALF検体からミトコンドリアDNAを高感度に定量するデジタルPCRの系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度の計画進行に先立ってSTING欠損マウスの入手と繁殖なども進めている。
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今後の研究の推進方策 |
肺線維症急性増悪動物モデルの作成に関しては、ブレオマイシン誘導肺線維症モデルに対してPM2.5やより再炎症誘導効果の高いシリカ微粒子の投与によって引き起こされる病態の解析を進める。またその際の肺内活性化マクロファージの表現型解析を予定している。一方、肺組織内におけるミトコンドリアDNAの増加が病態形成に関与しているという仮説を検証するためミトコンドリアDNAを気管内に投与して急性増悪に関連した病態が形成されるか評価する。 線維症肺由来肺胞マクロファージの増悪誘導因子に対する反応性の評価としてはブレオマイシンで誘導した肺内の活性化マクロファージを分離し、対照群と比較してPM2.5やミトコンドリアDNA曝露に対する反応性を比較する。 また臨床情報と紐づいた患者由来検体中のミトコンドリアDNAコピー数測定を実施してバイオマーカーとしての利用価値を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの分与・増殖に計上した経費が予想より少なく済んだため。 また、一部実験を次年度に予定しなおしたため。 次年度に新たに作成するマウス肺線維症急性増悪モデルの表現型及び遺伝子発現解析を予定しており、こちらに使用する予定である。
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