研究課題/領域番号 |
21K08208
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
田所 友美 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20507644)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 気道上皮幹細胞 / 気道軟骨 / 気道平滑筋 |
研究実績の概要 |
哺乳類の呼吸器系は、細菌やウィルスを取り除き空気を運ぶ気道と酸素を取り込む肺胞から成る。気道の内側は気道上皮細胞に覆われており、異物を捉える粘液を分泌する杯細胞を含む分泌細胞とそれらを排出する繊毛細胞から構成され、その下に気道上皮幹細胞である基底細胞が存在する。一方、気道の外側は軟骨と平滑筋が組み合わさり、管の強度を保つと同時に管の太さを調節可能な構造になっている。腹側背側の気道上皮幹細胞において遺伝子発現に大きな相違があることについて国際学術誌に発表を行い、気道の発生や維持機構に気道上皮幹細胞のヘテロジェネイティが果たす役割を示唆している(Tadokoro et al., Biol Open, 2021)。抽出された遺伝子を気道上皮特異的にノックアウトし、気道の形成、特に気道軟骨や気道平滑筋形成にどのような影響を与えるかについて検討を行う予定である。本年度はまずゲノム編集技術を使用した遺伝子改変floxマウスの作製に取り組み、仔を得た(理化学研究所との共同研究)。並行してマウス気道上皮と気道軟骨、気道平滑筋の共培養系を試みたが、各々の細胞系譜の至適培養条件に相違が認められた。ヒトiPS細胞からの平滑筋分化培養法について検討を行い、平滑筋マーカーであるTaglnやSMAなどの発現を確認した。ヒトiPS細胞からの軟骨分化についても軟骨マーカーであるColIIなどの発現が確認された。気道間葉系細胞と気道上皮細胞の共培養系についての検討を実施し、軟骨細胞と他の細胞の至適培養条件が異なることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腹側背側の気道上皮幹細胞において遺伝子発現に大きな相違があることについて国際学術誌に発表を行った(Tadokoro et al., Biol Open, 2021)。このことは、気道の発生や維持機構に気道上皮幹細胞のヘテロジェネイティが果たす役割を示唆している。腹側背側で発現の異なる遺伝子を気道上皮特異的にノックアウトし、気道の形成、特に気道軟骨や気道平滑筋形成にどのような影響を与えるかについて検討を行う。本年度はまずゲノム編集技術を使用した遺伝子改変floxマウスの作製に取り組み、仔を得た(理化学研究所との共同研究)。ヒトiPS細胞からの平滑筋分化培養法について検討を行い、平滑筋マーカーであるTaglnやSMAなどの発現を確認した。ヒトiPS細胞からの軟骨分化についても軟骨マーカーであるColIIなどの発現が確認された。気道間葉系細胞と気道上皮細胞の共培養系についての検討を実施し、軟骨細胞と他の細胞の至適培養条件が異なることが明らかとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、作製した遺伝子改変floxマウスとKRT5-CreERT2マウスをかけ合わせてコンディショナルノックアウトマウスの作製を実施し、気道上皮幹細胞による気道形成・維持機構の解明を目指す。In vivo解析を裏付けるためのin vitro培養系に関しては、上記コンディショナルノックアウトマウスの気道上皮細胞由来培養液を気道平滑筋や軟骨細胞に作用させることによって増殖・分化に与える影響について遺伝子発現解析や組織学的解析を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子改変マウスの納入が令和4年度に繰り越されたため。
|