研究課題/領域番号 |
21K08219
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
森 將鷹 産業医科大学, 医学部, 助教 (70816016)
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研究分担者 |
田中 文啓 産業医科大学, 医学部, 教授 (10283673)
小山 倫太郎 産業医科大学, 医学部, 助教 (70894088)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | CTC / 循環腫瘍細胞 |
研究実績の概要 |
癌患者の予後を規定するのは転移であり、その転移巣を形成するのは血中に遊離した腫瘍細胞、すなわち循環腫瘍細胞である。循環腫瘍細胞の捕捉は圧倒的多数の正常血球が存在することにより通常困難であるが、我々はバイオマーカーとしての循環腫瘍細胞に着目し、効率的な循環腫瘍細胞の捕捉を実現してきた。本研究ではこれまで研究手法をさらに発展させ、捕捉した循環腫瘍細胞のみを単離し、遺伝子解析可能な実験系を構築し、循環腫瘍細胞におけるEGFR阻害剤投与後の耐性変異検出などについて検討することで循環腫瘍細胞の遺伝子解析の臨床的有用性について評価することを目的としている。
循環腫瘍細胞の遺伝子解析においては通常白血球の混入が問題となる。白血球とともに遺伝子解析を行うことによって癌細胞特有の遺伝子変異検出が困難になるからである。そこで、我々はマイクロマニピュレーターを導入し、諸々の条件設定を最適化し白血球の混入なく循環腫瘍細胞単離が行える実験系を構築した。循環腫瘍細胞単離の後に、PCRによって既知の遺伝子変異を検出することが実現した。同様にして、単離した循環腫瘍細胞において次世代シークエンサーによる広範な遺伝子解析を行うことも可能となり、既知の遺伝子変異とともに多くの遺伝子情報が得られるようになった。
一方で、これにより従来のPCR法による検出では検知できなかった循環腫瘍細胞の遺伝子解析における諸問題も明らかとなり、今後はこの諸問題を解決し信頼性の高い遺伝子情報が得られるよう実験系を発展させ、その臨床的有用性について評価していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の顕微鏡システムにとって最適なマイクロマニピュレーターシステムをを導入し、正常細胞の混入なく循環腫瘍細胞を単離する実験系が構築できている。また、その遺伝子解析の基盤構築の基礎検討も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子解析に関して諸条件の最適化を行い質の高い結果が得られるような解析基盤を構築していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
PCRベースでの初期検討のため今年度は支出が抑えられた。次年度以降は当該予算を次世代シークエンサー関連の試薬代として使用していく。
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