研究課題/領域番号 |
21K08221
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山田 英二郎 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (60645563)
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研究分担者 |
前嶋 明人 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70431707)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Fyn / オートファジー / 糖尿病性腎臓病 / 近位尿細管 |
研究実績の概要 |
糖尿病性腎臓病の成因にautophagyが重要視されてきている。一方で我々Fynが代謝障害に関与し、筋肉ではautophagyを制御することを報告してきた。今回我々は、Fynが近位尿細管細胞で果たす役割を検討した【結果】Fynの過剰発現はautophagyを抑制し、ノックダウンで活性化が観察された。また骨格筋特異的Fynトランスジェニックマウスの筋肉では、autophagyを調節するTransglutaminase2(Tgm2)のチロシン残基がリン酸化され、in vitroでの実験では、FynがTgm2を直接リン酸化することが確認された。293T細胞でFynを過剰発現させるとTgm2がリン酸化し、リン酸化部位をフェニルアラニンに変更した場合(Tgm2-YF)リン酸化を認めなかった。さらに、近位尿細管細胞株HK-2細胞においてTgm2の過剰発現はautophagyの活性を低下させ、Tgm2-YFの過剰発現は再活性化をもたらしまた。最近の報告で腫瘍細胞においてTgm2がp53とp62を調節し、p53のオートファゴゾームへの輸送を制御していることが示された。そのためHK-2細胞でTgm2をノックダウン/過剰発現させた結果、p53タンパク量の低下/増加が観察された。また、マウス尿細管細胞では、Tgm2とp53の局在がFynと共に一致し、飢餓状態ではこれらが基底膜状に移動した。更に、高脂肪食マウスの近位尿細管細胞ではp53のタンパク発現が増加し、同部位におけるp62の発現は減少していることが示唆された。これらの研究結果から、尿細管細胞における栄養状態の変化がFyn-Tgm2の状態や局在を変動させ、autophagyを調節しp53のタンパク量を制御している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これらの研究結果から、尿細管細胞における栄養状態の変化がFyn-Tgm2の状態や局在を変動させ、autophagyを調節しp53のタンパク量を制御している可能性が示唆されたが、糖尿病状態ではどうかが未だ不明である。
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今後の研究の推進方策 |
Fynのノックアウトマウスに高脂肪食負荷やSTZ投与を行い糖尿病性腎臓病を発症させて、さらに研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Fynノックアウトマウスの繁殖が原因不明であるが困難であった。今年度は少しずつではあるが回復している。
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