研究課題/領域番号 |
21K08226
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
松下 明生 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50402269)
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研究分担者 |
佐々木 茂和 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (20303547)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 甲状腺ホルモン / アクアポリン2 / 転写調節 / 抗利尿ホルモン / GATA2 |
研究実績の概要 |
アクアポリン2(AQP2)遺伝子を活性化し蛋白発現を増やす転写因子としてGATA2の重要性が報告され、腎集合管特異的にGATA2発現を欠失したノックアウトマウスでAQP2の発現が消失し腎性尿崩症を発症することが報告されている。我々は以前にTSHβ鎖遺伝子、preproTRH遺伝子、2型脱ヨード酵素遺伝子などで甲状腺ホルモン受容体(TR)とGATA2が相互作用することで転写発現を負に調節していることを報告しており、同様の機序で甲状腺ホルモン(T3)がAQP2の発現量を負に制御していると考え検討を行った。 腎臓由来の培養細胞系にTRとGATA2を発現プラスミドを用いて一時的に導入し、AQP2遺伝子の転写活性を調べると、T3なしの状態で活性化され、T3を添加すると転写が抑えられることが確認できた。抗利尿ホルモンであるDDAVPはGATA2によるAQP2の転写活性化を相乗的に増強したが、DDAVPに拮抗してT3はAQP2の転写を抑制した。AQP2遺伝子プロモーター上のGATA2の結合配列を破壊するとT3/TRによるAQP2の転写制御が消失した一方、DDAVPシグナルの下流にあるCREB結合配列を破壊した場合にはT3/TRの転写制御は保たれていた。このことからAQP2遺伝子の転写調節におけるGATA2とTRの相互作用の重要性が確認できた。 甲状腺機能低下状態ではT3/TRによるAQP2転写抑制がなくなり、AQP2が高発現することで抗利尿効果が強まり、水貯留傾向となると考えられた。 これらの結果の概要は第64回日本甲状腺学会学術集会において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サル腎臓由来CV-1細胞とマウス腎集合管由来mIMCD-3への遺伝子導入実験により、バソプレッシン(DDAVP)とGATA2はアクアポリン2(AQP2)遺伝子の転写を相乗的に活性化し、甲状腺ホルモン受容体(TR)はT3依存性にAQP2の転写を抑制することが確認できた。この実験系でGATA結合配列を破壊するとT3/TRによるAQP2の転写制御が消失したことから、AQP2遺伝子の転写調節にTRとGATA2の相互作用が重要であることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
腎集合管におけるGATA2の作用を内因性に活性化する因子としてアンジオテンシンII受容体(AT1)~プロテインキナーゼC(PKC)を介した経路が存在する可能性があり、甲状腺ホルモンとAT1-PKC系の相互作用があるかどうか検討を行う予定である。
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