研究実績の概要 |
mTORC1抑制介さずにTFEBを活性化する薬剤のスクリーニングを、化合物ライブリー(計73,992化合物)を用いて行い、化合物Xを同定した。化合物Xは、in vitroにおいてmTORC1抑制を介さずにTFEBおよびオートファジーを活性化させたが、in vivoにおいては十分なオートファジー活性化を認めず、腎保護効果を示さなかった。化合物Xの投与方法の再検討を行ったが、経口投与により十分な効果を得るのは難しいと判断した。次に、これまでにオートファジー活性化が報告されているスペルミジンを、db/dbマウスへ投与する検討を行った。スペルミジンの4週間経口投与により、ポドサイトにおけるオートファジーの活性化を認めたため、同量のスペルミジンをdb/dbマウスに投与することとした。投与開始後4週間においてはdb/dbマウスにおける尿蛋白の軽減効果を認めたが、投与を継続した12週による長期投与では、db/dbマウスにおいて肥満の増悪、尿蛋白の増悪などの影響を認めた。このため、現在これらの現象における機序解明を行っている。さらに、TFEBを活性化によるポドサイト保護効果について、培養細胞でTFEBを活性化した細胞では糖尿病類似刺激に対する細胞死を抑制する結果を得た。このことから、TFEB活性化による細胞保護が明らかとなった。現在、ポドサイト特異的に活性化したTFEBを過剰発現させるマウスを作成し、その保護効果について動物実験においても検証を行う予定としている。
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