研究実績の概要 |
今回の基盤研究の概要は腎繊維化に関与する遺伝子に注目しAKIからCKD移行への病態解明を目指す。申請者らは遺伝子改変マウスを用いた実験と腎生検検体を用いた検討でZinc finger E-box-binding homeobox 2(Zeb2)がAKIの病態と繊維化に関与しCKDへの移行を進行させる事を見いだし令和3年度に欧州腎臓学会雑誌に報告した(文献1:Nephrol Dial Transplant.2021)。本研究の独創的な点は遺伝子改変技術や細胞マーカーなどの技術を使用しつつ、豊富な臨床例での検体を蓄積してきた実績を生かして、基礎・臨床両面からAKIの病態解明とAKIからCKDに移行するメカニズムの解明を目指す点である。さらにZeb2系はAKIだけでなく、乾癬やクローン病などのTh17系が関与する病態に広く関わっている可能性があり、臓器をこえた普遍性のある内容でその解明は重要である。今後この結果を発展させ、Zeb2によるAKIの病態と繊維化の調整とCKD移行のメカニズムを解明し、それらに対するsiRNAや抗体による新規治療法ならびにバイオマーカーとしての新規診断法を開発することにより、透析導入患者数の減少を目指したい。本研究の遂行による医療経済効果は計り知れない。 (文献1) Inotani S, Taniguchi Y, Nakamura K, Nishikawa H, Matsumoto T, Horino T, Fujimoto S, Sano S, Yanagita M, Terada Y. Knockout of Zeb2 ameliorates progression of renal tubulointerstitial fibrosis in a mouse model of renal ischemia-reperfusion injury. Nephrol Dial Transplant. 2021 Nov 1:gfab311. doi: 10.1093/ndt/gfab311. Online ahead of print. PMID: 34724064
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