研究課題/領域番号 |
21K08231
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
寺田 典生 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (30251531)
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研究分担者 |
谷口 義典 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70584431)
堀野 太郎 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (90448382)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腎臓 / 尿細管 / Zeb2 / 急性腎障害 / 虚血 / 慢性腎臓病 / アポトーシス / 線維化 |
研究実績の概要 |
今回の基盤研究の概要は腎繊維化に関与する遺伝子に注目しAKIからCKD移行への病態解明を目指す。研究代表者らは遺伝子改変マウスを用いた実験と腎生検検体を用いた検討でTGF-betaの細胞内シグナルに関与する転写因子のZinc finger E-box-binding homeobox 2(Zeb2)がAKIの病態と繊維化に関与しCKDへの移行を進行させる事を見いだし2022年に欧州腎臓学会雑誌に報告した(Nephrol Dial Transplant. 2022, 37(3):454-468)。本研究の独創的な点は遺伝子改変技術(腎尿細管特異的Zeb2 conditional KOマウス)や細胞マーカーなどの技術を使用しつつ、豊富な臨床例での検体を蓄積してきた実績を生かして、基礎・臨床両面からAKIの病態解明とAKIからCKDに移行するメカニズムの解明を目指す点である。R4年度の検討により、Zeb2 conditional KOマウスではAKI後のTGF-betaをはじめとしたサイトカインの発現が低下していること、また虚血によりZeb2のプロモーター活性が亢進することがわかった。さらにZeb2系はAKIだけでなく、乾癬やクローン病などのTh17系と繊維化が関与する病態に広く関わっている可能性があり、臓器をこえた普遍性のある内容でその解明は重要である。今後この結果を発展させ、Zeb2によるAKIの病態と繊維化の調整とCKD移行のメカニズムを解明し、それらに対するsiRNAや抗体による新規治療法ならびにバイオマーカーとしての新規診断法を開発することにより、透析導入患者数の減少を目指したい。本研究の遂行による医療経済効果は計り知れない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進捗状況は遺伝子改変マウスを用いた実験と腎生検検体を用いた検討でZinc finger E-box-binding homeobox 2(Zeb2)がAKIの病態と繊維化に関与しCKDへの移行を進行させる事を見いだし2022年に欧州腎臓学会雑誌に報告した(Nephrol Dial Transplant. 2022, 37(3):454-468)。本研究の独創的な点は遺伝子改変技術や細胞マーカーなどの技術を使用しつつ、豊富な臨床例での検体を蓄積してきた実績を生かして、基礎・臨床両面からAKIからCKDに移行するメカニズムの解明を目指している点である。さらにZeb2はAKIだけでなく、乾癬やクローン病などのTh17系と繊維化が関与する病態に広く関わっている可能性があり、臓器をこえた普遍性のある内容でその解明は重要である。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者らは遺伝子改変マウスを用いた実験と腎生検検体でZeb2がAKIの病態に関与し、腎生検でのZeb2染色が腎繊維化の早期診断マーカーになりうることを既に見いだし報告した。本研究ではこの成果を発展させ、Zeb2によるAKIからCKD移行のメカニズムを解明し、Zeb2抑制系の蛋白, siRNAや抗体による新規治療法ならびに早期バイオマーカーとしての新規診断法を開発することにより、透析導入患者数の減少を目指したい。本研究の遂行による医療経済効果は計り知れない。
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