研究課題/領域番号 |
21K08233
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
森下 義幸 自治医科大学, 医学部, 教授 (30570494)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マイクロRNA / IgA腎症 / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
マイクロアレイ法による25週齢のIgA腎症モデルマウス(HIGAマウス)腎でコントロールマウス腎と比較して有意に2倍以上上昇しているmiRNA 11種類、0.5倍以下に低下しているmiRNAの中からスクリーニング選出していたmiRNAをqRT-PCRで検証し、糖尿病性腎症モデルマウス(db/dbマウス、AKITAマウス)、急性腎障害モデルマウス(リポポリサッカロイド誘導敗血症モデル、腎動脈虚血再灌流モデル)、腎線維化モデルマウス(片側尿管結紮モデル)、老化腎障害モデル(SAPM1モデルマウス)の腎臓での発現とqRT-PCR法で比較検討し、HIGAマウス腎臓でのみ特異的に変化するmiRNAを2種類(miRNA-A, miRNA-B)同定した。次に、血液で測定できるIgA腎症バイオマーカーを同定する目的で、25週齢のHIGAマウスの血漿(n=4)でコントロールマウスの血漿(n=4)と比較し有意変化しているmiRNAをマイクロアレイ法により網羅的抽出しqRT-PCR法で確証した。その結果、HIGAマウス血漿で有意に上昇するmiRNA 5種、低下するmiRNA 3種を選出した。さらにこれら8種類のmiRNAの発現変化を、糖尿病性腎症モデルマウス(db/dbマウス、AKITAマウス)、急性腎障害モデルマウス(リポポリサッカロイド誘導敗血症モデル、腎動脈虚血再灌流モデル)、腎線維化モデルマウス(片側尿管結紮モデル)、老化腎障害モデル(SAPM1モデルマウス)の血漿を用いてqRT-PCR法で比較検討し、HIGAマウスの血漿で特異的変化するmiRNA2種類(miRNA-C, miRNA-D)を同定した。次にこの2種類のmiRNAが、健常者、IgA腎症患者、その他の腎症患者(膜性が腎症、巣状糸球体硬化症、微小変化ネフローゼ、糖尿病性腎症、急性腎障害)の患者と比較してIgA腎症の患者血漿でのみ変化していることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りIgA腎症のバイオマーカー候補となるmiRNAをマウス腎臓、血漿、IgA腎症患者の血漿で同定できているため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度同定したIgA腎症の腎臓でのみ変化するmiRNA2種類(miRNA-A, miRNA-B)およびIgA腎症の血漿で特異的に変化するmiRNA(miRNA-C, miRNA-D)のmimic/inhibitorを作成し、HIGAマウスのmiRNAの経時的発現変化解析から変化を認め始める週齢から25週まで、5nmolのmiRNA-inhibitorまたはmimicを週2回尾静脈より経静脈的投与する。未処置HIGAマウス、control miRNAを投与したHIGAマウスをコントロール群とする。25週齢でマウスを解剖し、各群の腎臓で標的miRNAのノックダウン(inhibitor投与時)または過剰発現(mimic投与時)効率をqRT-PCR法で比較検討する。またmiRNA-inhibitor/mimicのIgA腎症進展抑制効果を腎組織、qRT-PCR、ウエスタンブロット法による腎障害マーカー測定により評価する。さらに各群の腎臓で遺伝子マイクロアレイを実施し、同定したmiRNAの生体内での機序を網羅的解析する。本方法でmiRNAのIgA腎症調節と治療薬としての生体内での機序を解明する。
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