研究課題/領域番号 |
21K08236
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
横田 健一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (50424156)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 概日リズム / ミネラルコルチコイド受容体 |
研究実績の概要 |
生体の概日リズムが血圧調節や高血圧発症に関わることはよく知られているが、そのメカニズムについてはなお不明な点が多い。申請者はマイクロアレイによる予備実験の結果、腎尿細管でのミネラルコルチコイド受容体(MR)活性化が時計遺伝子の発現を変動させる事実を見出した。そこで本研究では、MR活性化の概日リズムについて解析を行う。そしてMR活性化が生み出す振動と時計遺伝子による振動間のクロストークが存在するのか、またMR活性化の振動がどのような環境要因によって調節されるのか、MR活性化の振動が高血圧にどのように関与するのかについてその詳細を解析する。初めに、オス野生型C57BL/6マウスを12時間毎の明暗環境下、自由摂食状態で飼育し、4時間毎に腎臓、結腸を採取し、時計遺伝子、MR、MR標的遺伝子の発現をqPCRで検討を行った。腎臓、大腸とも、時計遺伝子は頑健に24時間周期で振動していたほか、MRやその標的遺伝子にも遺伝子発現の振動が見られた。大腸上皮細胞では腸管特異的MR 欠損により、MR 遺伝子発現が低下するとともに、MR 標的遺伝子の発現低下や振幅の減弱が観察された。一方で、時計遺伝子の頑健な概日振動には遺伝子・タンパク質発現ともに大きな変化は認められなかった。大腸上皮細胞では腸管特異的Bmal1 欠損により、Bmal1 遺伝子発現が低下するとともに、Bmal1 標的遺伝子の発現低下や振幅の減弱が遺伝子、タンパク質ともに観察された。今後、塩分吸収に関わる遺伝子発現が、光と食事のタイミングや食塩濃度によってどのように制御されているのかを、コルチコステロンやアルドステロンの血中濃度測定とともに、検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸管上皮特異的MR欠損マウスと、Bmal1欠損マウスのサンプルリングが終了している他、高食塩負荷、低食塩負荷の時間制限食も実施しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、高食塩負荷、低食塩負荷の時間制限食のサンプリングを行うとともに、RNA-seqによるトランスクリプトーム解析や、テレメトリーによる血圧測定や代謝ケージによる尿・便のNa排泄も検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費用が予定よりも少額となったため、翌年度分と合わせて、消耗品に使用する予定である。
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