研究課題/領域番号 |
21K08237
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
角田 隆俊 東海大学, 医学部, 教授 (50276854)
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研究分担者 |
金井 厳太 東海大学, 医学部, 講師 (00535221)
澤田 佳一郎 東海大学, 医学部, 客員講師 (10420952)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 二次性副甲状腺機能亢進症 |
研究実績の概要 |
私たちは「副甲状腺細胞の脂肪細胞への分化転換の機序を明らかにし、過形成副甲状腺とその周囲に蓄積する脂肪組織の関係性を解明する」ため、in vitro での分化転換現象の再現を試みたが、現在のところ脂肪細胞分化は検出できていない。これは、実験に耐える副甲状腺細胞の株細胞がなく、初代培養を使わざるを得ないからである。副甲状腺細胞は株化が難しいことで知られており、初代培養も培養下へ移すとすぐに分裂能を消失してしまうため、脂肪細胞への分化転換が進まないと考えられた。そこで本年度は、副甲状腺細胞をiPS化した細胞を再び副甲状腺に分化させ、細胞が分裂能を維持している間に脂肪細胞へ分化させることを試みた。 具体的には、ヒト副甲状腺細胞より作製されたiPS細胞を副甲状腺細胞に再分化させる過程で脂肪細胞への分化転換を誘導することとし、本年度はiPS細胞を副甲状腺細胞に分化させる系の確立と改良を行った。ヒト副甲状腺由来のiPS細胞は他研究所で確立したものを譲り受けた。副甲状腺細胞への再分化工程は以下の通りである。 iPS細胞から副甲状腺細胞の分化誘導はLawtonらの手法を改良して行った。iPS細胞はまず胚体内胚葉(Definitive Endoderm:DE)に分化させ、それを前方前腸内胚葉(Anterior Forgut Endoderm:AFE)に分化させた。これをさらに咽頭内胚葉(Pharyngeal Endoderm:PE)に分化させた後、最終的に副甲状腺細胞に分化させた。私たちは、AFEの誘導まで既存の肺前駆細胞分化キットを用いることで手間の軽減と期間の短縮を改良した。その後の副甲状腺細胞の再分化は副甲状腺ホルモン(PTH)の産生を指標として確認した。 この手法により副甲状腺細胞の再分化を確認できたので、今後、この系を用いて副甲状腺細胞の脂肪分化転換の機序について解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
副甲状腺初代培養の脂肪細胞分化系の確立は困難であることが判明したため、予備として用意したiPS細胞系を用いる手法に変更したが、想定の範囲内である。iPS細胞からの副甲状腺細胞の分化誘導系も問題なく確立された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、iPS細胞からDE、AFE、PEを経て副甲状腺細胞になるまでの各ステージの細胞を用いて脂肪細胞への分化転換を試みる。脂肪分化誘導は、繊維芽細胞などの脂肪細胞分化を参考に、インスリン、イソブチルメチルキサンチン、デキサメタゾンなどを添加して誘導する。また、ヒト副甲状腺組織の腎不全ラットへの移植では、甲状腺被膜下への移植が他の部位への移植よりも顕著に高率な脂肪細胞分化を示したので、甲状腺ホルモン(T3)の添加やラット甲状腺組織との供培養などで脂肪分化を促進することも試みる。さらに、カルシウム受容体作動薬(カルシミメティクス)が分化転換を促進する可能性についても検討する。 これらによりヒト副甲状腺から脂肪細胞への分化転換の系を確立し、その機序を解明するための研究を進展させる。これらのin vitro 実験系で脂肪分化が再現できなかった場合は、各ステージの細胞を細胞塊として腎不全ラット甲状腺被膜下へ移植し、脂肪分化を確認すると共に、PPARγの発現誘導や強制発現による脂肪分化を試みる。私たちは、甲状腺の腺細胞でPPARγが強く発現していることを見出しており、甲状腺に発現するPPARγ発現誘導因子の作用を被膜外へ出た副甲状腺細胞が受けている可能性があると考えている。
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