研究課題/領域番号 |
21K08238
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
坪井 伸夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (40408422)
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研究分担者 |
清水 章 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00256942)
春原 浩太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20827034)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ネフロン / ポドサイト / 単一ネフロンGFR |
研究実績の概要 |
本研究では、進行性腎疾患患者を対象として計測したネフロン数・単一ネフロンパラメータと臨床病理像・長期腎予後との関連を明らかにし、実臨床における有 用性を確立することを目的とする。これまでに、我々が独自に考案した新規法を用いて、肥満関連糸球体症(ORG)48例及び、ステロイド感受性微小変化型ネフ ローゼ75例の総ネフロン数、SNGFRとSNUPEを計測し報告した。これらの研究により、ORG, MCDにおけるネフロン数、単一ネフロンパラメータのそれぞれの病態に おける意義について報告した。その後、IgA腎症患者245例, 膜性腎症患者106例を対象とした同様の解析を進めてきた。IgA腎症患者ではネフロン数がCKD病期の 進行により著しく減少すること、また、IgA腎症の多彩な糸球体病変によって単一ネフロンパラメーターが影響を受けることなどを初めて明らかにし報告した(Marumoto H, Tsuboi N et al. Kidney 360, 2021)。 膜性腎症の解析では、本疾患の特徴である基底膜病変病期の進行につれて単一ネフロンGFRが低下することを初めて示し報告した(Okabayashi Y, Tsuboi N et al. Kidney 360 in press)。これは、本疾患 の動物モデルであるHymann腎症モデルにおけるマイクロパンクチャー法を用いた検討結果に合致する。現在、糖尿病性腎症患者80例ほどの対象について、ネフ ロン数、単一ネフロンパラメーターの解析を進めている。さらに、上記各種疾患群において、糸球体ポドサイト数と体積を計測(ポドメトリクス解析)を進め、ORG患者における解析データを学会報告に向けて準備をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で掲げた研究内容を実施するにあたり必要な方法論は確立しており、各種進行性腎疾患患者の臨床病理検体を用いた解析も着実に症例数を増し、結果が 出ている。研究遂行にあたり何ら障壁になるような事象もなく、本研究計画は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画はこれまで、概ね順調に進展していると考えられ、これまで同様にネフロン数計測、単一ネフロンパラメーターの推算と臨床病理相関に関する検討を 進めていく。また、研究対象病理検体を用いて、ポドメトリクス計測を進める。今後、単一ネフロンパラメーターとポドメトリクスを付け合わせ、構造機能相関 研究へと発展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色に必要な抗体や染色キットなどが以前の研究の残余などを用いて施行されたために、組織染色費用などが想定されたほど使用がなかった。今後、症例数 の増加が見込まれ、次年度以降の研究ではこの部分の経費が必要となってくる見込みである。また、研究成果が蓄積されてきており、学会発表に必要となる経費 や論文化に必要となる経費も今後さらに必要となってくると考えられることから、次年度以降に使用していく予定である。
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