研究実績の概要 |
これまでに、我々が独自に考案した新規法を用いて、肥満関連糸球体症(ORG)48例及び、ステロイド感受性微小変化型ネフローゼ75例の総ネフロン数、SNGFRとSNUPEを計測し報告した。これらの研究により、ORG, MCDにおけるネフロン数、単一ネフロンパラメータのそれぞれの病態における意義について報告した。その後、IgA腎症患者245例, 膜性腎症患者106例を対象とした同様の解析を進めてきた。IgA腎症患者ではネフロン数がCKD病期の進行により著しく減少すること、また、IgA腎症の多彩な糸球体病変によって単一ネフロンパラメーターが影響を受けることなどを初めて明らかにし報告した(Marumoto H, Tsuboi N et al. Kidney 360, 2021)。 膜性腎症の解析では、本疾患の特徴である基底膜病変病期の進行につれて単一ネフロンGFRが低下することを初めて示し報告した(Okabayashi Y, Tsuboi N et al. Kidney 360 2023)。これは、本疾患 の動物モデルであるHymann腎症モデルにおけるマイクロパン クチャー法を用いた検討結果に合致する。糖尿病性腎症患者80例ほどの対象について、ネフ ロン数、単一ネフロンパラメーターの解析を進め報告した(Miura A et al. ASN2023 oral presentation)。さらに、上記各種疾患群において、糸球体ポドサイト数と体積を計測(ポドメトリクス解析)を進めている。ポドメトリクス指標のうちポドサイトの密度がORGの進行に最も強く関連していることを明らかにした。ORG患者におけるポドメトリクス解析の研究結果については、現在論文投稿審査中である。
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