研究実績の概要 |
IgA腎症患者の摘出扁桃において病原性の高いRedComplexに属する歯周病菌が有意に高く検出されることを見出した。また、この病原性の高い歯周病菌のひとつである、Porphyromonas gingivalisをマウスに継続して経鼻投与することで腎糸球体にIgAの沈着とメサンギウム基質の増生というIgA腎症特有の病変を惹起することが出来ることを見出だした。この一連の研究を、International Journal of Molecular Scienceに原著として報告した(Nagasawa Y, Nomura R, Misaki T, Ito S, Naka S, Wato K, Okunaka M, Watabe M, Fushimi K, Tsuzuki K, Matsumoto-Nakano M, Nakano K. Relationship between IgA Nephropathy and Porphyromonas gingivalis; Red Complex of Periodontopathic Bacterial Species. Int J Mol Sci. 2021 Dec 1;22(23):13022. doi: 10.3390/ijms222313022.)また、この病原性の高い歯周病菌やコラーゲン結合能が上昇するcnm蛋白を持つ齲蝕菌のような口腔内細菌が、IgA腎症を惹起するメカニズムに関して現在想定しうる仮説とそれを支持するエビデンスを総説としてまとめ、International Journal of Molecular Scienceに報告した。 このPorphyromonas gingivalisの病原性が特異的かどうかを検討するために、口腔内に比較的よく検出される、S.Salvadisを選び、同様に鼻腔投与を行った。現在、IgAの腎糸球体への沈着に差が存在するか、検討中である。
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