研究実績の概要 |
IgA腎症患者の摘出扁桃において病原性の高いRedComplexに属する歯周病菌が有意に高く検出されることを見出した。また、この病原性の高い歯周病菌のひとつである、Porphyromonas gingivalisをマウスに継続して経鼻投与することで腎糸球体にIgAの沈着とメサンギウム基質の増生というIgA腎症特有の病変を惹起することが出来ることを見出だした。この一連の研究を原著として報告した(Nagasawa Y, et al Int J Mol Sci. 2021)。また、この病原性の高い歯周病菌やコラーゲン結合能が上昇するcnm蛋白を持つ齲蝕菌のような口腔内細菌が、IgA腎症を惹起するメカニズムに関して現在想定しうる仮説とそれを支持するエビデンスを総説としてまとめ、報告した(Nagasawa Y, Misaki T, Ito S, Naka S, Wato K, Nomura R, Matsumoto-Nakano M, Nakano K.Title IgA Nephropathy and Oral Bacterial Species Related to Dental Caries and Periodontitis. Int J Mol Sci. 2022 Jan 10;23(2):725. doi: 10.3390/ijms23020725.)。これらの報告は、口腔内の衛生状態を良い状態で維持することがIgA腎症患者の予後を良くすることに寄与することを意味しており、大学内でも高く評価され、大学の公式ホームページにトピックスとして紹介された。読売新聞にも紹介される記事が掲載され広く公共に周知することになった。さらに、現在歯周病菌について、OrangeComplex,BlueComplexなどを含む10菌種について検討を進め、有意に検出される歯周病菌を見出している。
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