研究実績の概要 |
筋線維芽細胞の特徴をフローサイトメトリーで検討するために、片側性尿管結紮(UUO)を行い線維化した腎臓をコラゲナーゼ処理することにより細胞を単離して解析を行った。16-22週齢のC57BL/6マウスを用いてUUOを行ない、フローサイトメトリーを用いて評価を行った。細胞はUUO後2, 4, 7, 14, 21, 28日目の腎臓から回収した。CD45.2、CD11b、F4/80による染色を行うと、CD45.2+ CD11b+ F4/80+群の細胞数増加が大きく、UUO後7、14日目をピークに増加していた。続いて筋線維芽細胞のマーカーとしてαSMAを指標に検討を進めた。αSMA陽性細胞数はUUO後14日頃をピークに増加していたため、以降の検討は14日後の腎臓を用いて行った。CD45.2で分類するとCD45.2-群の方がαSMA陽性細胞の割合が大きかった。続いてvimentin, CD73, CD34, PDGFRβとの関連を調べると、CD45.2+群ではαSMA陽性細胞はわずかであったが、vimentinは大部分の細胞で陽性であった。CD45.2-群では、αSMA+細胞は、vimentinはほぼ全て陽性、CD34はほぼ陰性、CD73は20%程度陽性、PDGFRβは60%程度陽性であった。しかしvimentin陽性細胞の中でαSMA陽性細胞の割合は30%程度と相関は弱く、一方αSMAとPDGFRβの発現強度は強く相関していた。αSMAとPDGFRβの相関を免疫染色でも確認したところ、αSMAとPDGFRβは概ね一致した。αSMAは主にCD45.2-群に存在したことから、筋線維芽細胞の大部分は非血球系細胞由来であると考えられた。vimentin、CD34、CD73はαSMAとの相関は弱く筋線維芽細胞のマーカーとしては適さず、PDGFRβがマーカーとして適しているものと考えられた。
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