研究課題
我々は独自に構築した次世代シーケンサー(NGS)による網羅的腎臓病遺伝子パネル検査にて、様々なCKDの遺伝子背景を明らかにすべく研究活動を続けている。UMODはADTKD(Autosomal Dominant Tubulointerstitial Kidney Disease)などの希少腎疾患原因遺伝子でありながら、common diseaseにも関与する極めて重要かつ影響力の強い遺伝子である。これまで生体内でのUMOD尿細管分泌刺激は不明であったが、我々はUMODの既知の生理機能から尿濃縮との関連性に着目し、AVP(Arginine vasopressin)がcAMP, PKA活性化を介してUMODの尿中分泌を制御する重要な生理的因子であることを発見しHypertension誌に報告した(Nanamatsu A, Mori T, et al. Hypertension, 2021)。並行して、家族歴を有さない多発腎嚢胞(PKD)患者のうち、先行するパネル遺伝子検査にて責任遺伝子が同定されなかった47名について米国ワシントン大学との共同研究のもとその全員に全ゲノムシークエンス(WGS)を実施し、3名に共通してcilia関連遺伝子であるCFAP47に病的バリアントが存在することを見出した。免疫染色にてCFAP47はヒト腎臓尿細管ciliaに発現することを確認し、Fudan大学Prof. Feng Zhangらとの共同研究で、CFAP47のノックアウトマウス腎臓を検証した結果、尿細管上皮細胞の空胞化とと尿細管腔の拡張を認め、全く新しい嚢胞責任遺伝子であると考えられた。さらにCFAP47は嚢胞性腎疾患の原因としては希少なX連鎖遺伝形式であり、臨床的意義も高いと期待される。成果について2023年米国腎臓学会で報告し、またプレプリントサーバーに先行掲載した上で、現在論文査読中である。
2023年2月1日から3月末日まで2カ月間、「腎臓病の遺伝子解析から、病気と遺伝子のかかわりを探り続けるために」というタイトルで、Readyfor社のサポートのもと腎臓病遺伝子解析に関わる運用資金獲得のためのクラウドファンディングを実施。総勢395名のご支援、総額1950万円に及ぶご寄付をいただいた。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (12件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 11件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
medRxiv [Preprint]
巻: n/a ページ: n/a
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