研究課題/領域番号 |
21K08250
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
後藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00463969)
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研究分担者 |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | IgA腎症 / 扁桃 |
研究実績の概要 |
本研究では、IgA腎症患者の口蓋扁桃の粘膜免疫異常の詳細な機序を解明することを目的とする。現在までの研究で、IgA腎症患者の扁桃組織では、習慣性扁桃炎患者の扁桃組織と比較して内在する細菌叢に明らかな違いは認められないものの、細菌叢に対するIgA免疫反応が亢進していることが観察された。本研究では摘出扁桃を用いてさらに1細胞解析による網羅的遺伝子発現解析を行い、免疫担当細胞の動態を明らかにすることを計画した。 今年度は、1細胞解析を行うにあたり、扁桃組織処理の検討を行なった。組織処理の過程で酵素処理、生存率、細胞数などを評価し、1細胞解析に適する条件を決定した。また細胞核を用いた解析も想定し、実験フローを検討した。同時に摘出扁桃全体での遺伝子発現情報も解析するため、凍結組織全体および1細胞解析のための組織処理後の細胞全体を用いて網羅的な遺伝子発現解析(RNA-seq)を行った。 組織処理の検討では、概ね採取された細胞数・生細胞率は基準を満たし次のステップに移行できると判断した。また凍結保存された扁桃組織から細胞核の採取について核分離のステップを複数組み合わせることで精度を高めることが可能になった。扁桃組織全体あるいは分離細胞の網羅的遺伝子発現解析では、コントロール(習慣性扁桃炎)と比較して有意に発現が上昇している遺伝子群が同定された。それぞれの遺伝子群からパスウェイ解析を行い、IgA腎症患者の扁桃での粘膜免疫異常のメカニズムを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では1細胞解析にあたり臨床検体の標本処理が重要となるため、実験フローの各段階を評価したが、現段階までにプロトコールをほぼ確立しつつある。扁桃摘出術直後に採取可能な検体数は限りがあるが、凍結保存された標本も含めて解析を検討しており、今後、1細胞解析の細胞分離・ライブラリ作成・シーケンス解析へ移行できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに確立したプロトコールを用いてヒト口蓋扁桃の摘出標本から1細胞分離・シークエンス解析を進めていく。細胞あるいは細胞核を対象とするか、実際のシークエンス解析の結果を評価しながら対応する。今回の1細胞解析に加えて、1細胞のレパトア解析の準備も検討していく予定である。
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