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2022 年度 実施状況報告書

尿細管に着目した腫瘍腎臓病学

研究課題

研究課題/領域番号 21K08258
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

濱野 高行  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (50403077)

研究分担者 村島 美穂  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40771837)
安部 賀央里  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (70440625)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード低Na血症
研究実績の概要

2018年1月1日から2020年9月30日までに当院で化学療法を受けた悪性腫瘍患者を対象とした後ろ向きコホート研究を行った。Na値が130 mEq/L以下を示した場合に低Na血症の発症とした。悪性腫瘍治療中の患者における低ナトリウム血症の発症率が約25%と極めて高いこと、低ナトリウム血症の原因としては、腎からのNa喪失によるものが多いことがわかった。Mixed-effects logistic regression modelに加え、薬学部との共同研究で機械学習による低ナトリウム血症の予測モデルも作成した。具体的には、説明変数には、検査値や抗癌剤、悪性腫瘍の種類、併用薬の有無など電子カルテから得られる68個の特徴量を用いた。全データの80%を用いて、モデルの構築を行い、20%を検証用データとした。Lightgbmを用いて次回の検査時の低Na血症の発症の有無を判別するモデルを構築した。構築した機械学習モデルの感度は0.766、特異度は0.724、ROC-AUCは0.820となった。AUCが0.8を超えており、予測性能が高いことが示された。Mixed-effects logistic regression modelにおいても、機械学習モデルにおいても、これまで低ナトリウム血症の原因となると言われてきたビンカアルカロイド系、プラチナ系の抗癌剤に加えて、ボルテゾミブ、免疫チェックポイント阻害剤が、低ナトリウム血症と有意に関連していることが明らかになった。これらのデータをまとめて論文化し、現在投稿中でrevise中である。
前向きコホート研究においては、13名の患者を登録しデータを収集している。うち、2名が、通常の治療では治療困難なSIADHであり、トルバプタンを開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

後ろ向きコホート研究については、論文投稿中、revise中であり、ほぼ計画通り研究を進めることができた。一方で、前向きコホートについては、症例の登録が思うように進んでいない。

今後の研究の推進方策

電解質バスターズ名市大モデルは一定の成果をあげ、低Na血症の紹介患者は明らかに上昇した。しかし、さらに増やすために、電解質バスターズ改を2023年から立ち上げた。具体的には、電解質バスターズの血清Na濃度についてのアラート設定を125未満から127mEq/L未満に引き上げるとともに、悪性腫瘍治療にかかわる各科の医師に低ナトリウム血症の患者を積極的に紹介いただくようお願いした。血液内科のカンファレンスで、研究についてのプレゼンテーションを行わせていただき、耳鼻科、泌尿器科よりは研究の概略についての説明の要請があったため、説明資料を作成し、協力をお願いした。その結果この2-3か月低ナトリウム血症による紹介が増加しており、登録症例数も増えてきている。今後、多くの担癌患者の治療をおこなっている共同研究施設の追加(具体的には名古屋市立大学附属西部医療センター)も検討している。

次年度使用額が生じた理由

尿中アクアポリンの測定は症例数が集まってから一度に行う必要があるため、まだ施行していない。そのための測定費用が必要である。また、引き続いてAIを使って評価するうえで、教育データの入力などに必須の人件費が必要なため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 悪性腫瘍患者における化学療法中の低Na血症を予測する機械学習モデルの構築およびリスク因子の検討2023

    • 著者名/発表者名
      青木優佳、安部賀央里、頭金正博、村島美穂、濱野高行
    • 学会等名
      日本医療薬学会
  • [学会発表] 悪性腫瘍患者における化学療法中の低Na血症の発症を予測する機械学習モデルの構築2022

    • 著者名/発表者名
      青木優佳、安部賀央里、村島美穂、濱野高行、頭金正博
    • 学会等名
      第8回次世代を担う若手のためのレギュラトリーサイエンスフォーラム

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公開日: 2023-12-25  

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