研究課題/領域番号 |
21K08260
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研究機関 | 日本文理大学 |
研究代表者 |
岩崎 香子 日本文理大学, 保健医療学部, 教授 (10360059)
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研究分担者 |
安部 眞佐子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (30222665)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨弾性率 / タンパク質摂取量 / 筋量減少 |
研究実績の概要 |
慢性腎臓病(CKD)患者では骨折が多発する。筋は骨に力学的負荷をかけることで骨の力学特性を維持するために重要な器官である。しかしながら、CKD患者では病態がもたらす筋委縮に加え、腎保護を目的に食事からのタンパク質摂取の制限が加わることから筋委縮を招きやすい。またタンパク質摂取制限が骨の力学特性にどの程度影響するか、詳細は不明である。本研究では、タンパク質摂取制限の骨ならびに筋への影響を明らかにし、CKDが有する易骨折性とサルコペニアを回避する手段を検討する。 2021年度の動物実験で、腎機能を50%低下させた腎障害ラットにタンパク制限食(LPD)を7週間摂取させると筋重量は低下するものの、骨弾性率は腎機能正常群と同程度に維持できることを見出した。2022年度はLPD食が骨弾性を維持した要因と筋重量低下に関わる遺伝子の発現等を解析した。また、2022年度にSTD食に抗酸化物質または腎保護作用物質を餌に添加し摂取させる動物実験を行ったので、当該年度はその検体を解析した。 抗酸化能を有するflavanolを混餌で摂取させると骨の弾性率低下が抑制できることが確認された。腎保護作用物質の摂取群では非投与群に比べ、骨弾性率低下の割合は減少したが、有意な改善は見られなかった。flavanol投与群で筋量維持に関わる遺伝子の発現変動がみられたが、筋重量には差はなかった。またflavanol投与群では腸管の炎症関連遺伝子発現の低下がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が新設の組織に移動したが、移動先の実験施設の開設工事ならびに機器設置が年度末までかかり所属施設での検体解析が行えなかった。共同研究者の所属施設の機器を借りて検体の一部を解析したが、十分な解析時間を取ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
実験機器の移設が完了し機器の運転確認作業が徐々に行われているため、次年度は残っている検体の解析を進めることで、計画策定時の予定からの遅れを取り戻す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験施設の立ち上げ・セットアップにより生化学関連や遺伝子発現の解析が着手できず、試薬購入に予定していた費用が残ってしまった。残った予算は生化学や遺伝子発現解析関連の試薬購入や解析費用に使用する。
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