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2022 年度 実施状況報告書

腹膜透析におけるガス状伝達物質を用いた新たな腹膜劣化予防・治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K08267
研究機関愛知医科大学

研究代表者

神谷 圭介  愛知医科大学, 医学部, 助教 (50763900)

研究分担者 大塚 俊  愛知医科大学, 医学部, 助教 (00879504)
福重 香  愛知医科大学, 医学部, 助教 (30805023)
伊藤 恭彦  愛知医科大学, 医学部, 教授 (60402632)
鬼無 洋  愛知医科大学, 医学部, 准教授 (70805275)
畑山 直之  愛知医科大学, 医学部, 准教授 (80534792)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード腹膜透析
研究実績の概要

本研究では、医療用消毒液クロルヘキシジングルコン酸塩(CG)を投与することで腹膜傷害を誘発するマウスモデルを用いる。CG(0.3 ml)を隔日でマウスに腹腔投与し、15日目に評価を行う。上記のモデルを用いて、最適なガスとその投与量、投与回数、投与時期を検証する。
生理食塩水(生食)を溶媒として、各ガス(CO、NO、H2S)UFBを作成する。投与量、投与回数、投与時期は、これまでの論文を参考にCG投与から2時間後に各UFBを1.0 ml腹腔投与し、経過を観察する。また、UFBを含まない生食群、細胞保護効果のない窒素(N2)UFBを含むN2-UFB群を対照群として実験を行う。評価として腹膜平衡試験による除水量を測定する。腹膜平衡試験による腹膜機能評価を行う。4.25%グルコース PD 液(Dianeal PD-4.25) 2.0 ml を腹腔投与し、2 時間後に腹腔内の PD 液をすべて採取し、除水量を測定する。さらに、採取した PD 液および血液(血清)から、クレアチニン、尿素窒素、グルコース濃度、タンパク質濃度を測定する。D2/D0 Glucose、D/P Creatinine、D/P Urea、排液中タンパク質濃度、D/P β2MGなどを算出し、小分子ないし中・大分子物質の腹膜透過性を評価する。
除水量においてはUFB群で有意に改善を認めているが、グルコースなど小分子の透過性は差を認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

除水量においてはUFB群で有意に改善を認めているが、グルコースなど小分子の透過性は差を認めなかった。これ説明するために、リンパ管新生の程度など、機序についても検討していく必要がある。

本年度は、CGの投与によって腹膜障害を惹起したマウスを対象に、COを腹腔内投与することで、どのような影響を及ぼすか調査した。COを投与した腹膜障害予防群の除水量は、障害誘導群と比較して有意に多かった。また、障害誘導群の腹膜は、予防群より有意に肥厚していた。一方でグルコースなど小分子の透過性は差を認めなかった。
除水量が予防群において障害誘導群より多かったことから、COの直接投与が腹膜障害の緩和をもたらし、腹膜の透過性亢進を防ぐ可能性が示された。また、腹膜厚についても、予防群が障害誘導群より低値を示しており、COの投与で、腹膜劣化の一因である腹膜の肥厚を抑制できると考えられる。リンパ管新生の程度など、機序についても検討していく必要がある。
腹膜における炎症性サイトカインの発現には群間差が見られなかった。横隔膜では、障害誘導群のIL-6の発現が予防群より高かった。横隔膜の炎症性サイトカインが抑制できていたことから、COの投与が抗炎症作用をもたらすことが確認された。

今後の研究の推進方策

本年度の研究により、医療ガスの投与によって、腹膜障害が予防できる可能性が生じた。来年度は、腹膜や横隔膜を対象に、詳細な遺伝子解析や組織染色を用いて、障害予防のメカニズムを解明することで、COの医療ガスとしての有用性や発展性に迫ることを目指す。また、治療薬中のガスの濃度を変化させることで、治療の程度に濃度依存性があるか調査する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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