研究課題
本研究では、医療用消毒液クロルヘキシジングルコン酸塩(CG)を投与することで腹膜傷害を誘発するマウスモデルを用いる。CG(0.3 ml)を隔日でマウスに腹 腔投与し、15日目に評価を行う。上記のモデルを用いて、最適なガスとその投与量、投与回数、投与時期を検証する。 生理食塩水(生食)を溶媒として、各ガス(CO、NO、H2S)UFBを作成する。投与量、投与回数、投与時期は、これまでの論文を参考にCG投与から2時間後に各UFBを 1.0 ml腹腔投与し、経過を観察する。また、UFBを含まない生食群、細胞保護効果のない窒素(N2)UFBを含むN2-UFB群を対照群として実験を行う。評価として腹膜 平衡試験による除水量を測定する。腹膜平衡試験による腹膜機能評価を行う。4.25%グルコース PD 液(Dianeal PD-4.25) 2.0 ml を腹腔投与し、2 時間後に腹腔 内の PD 液をすべて採取し、除水量を測定する。さらに、採取した PD 液および血液(血清)から、クレアチニン、尿素窒素、グルコース濃度、タンパク質濃度を 測定する。D2/D0 Glucose、D/P Creatinine、D/P Urea、排液中タンパク質濃度、D/P β2MGなどを算出し、小分子ないし中・大分子物質の腹膜透過性を評価す る。除水量においてはUFB群で有意に改善を認めているが、グルコースなど小分子の透過性は差を認めなかった。医療ガスの投与によって、腹膜障害が予防できる可能性が生じた。治療薬中のガスの濃度を変化させることで、治療の程度に濃度依存性があるか調査を行ったが、所見にばらつきが大きく、有意な結果を得ることはできなかった。