研究課題/領域番号 |
21K08268
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
杉山 紀之 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (90381954)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 繊毛 / 嚢胞腎 |
研究実績の概要 |
InvとCa2+の関係を解析し、Ca2+をトリガーとした繊毛シグナルの存在を解明するためのInvのCaM結合領域点変異マウスの解析を主に行なった。腎臓、胆管、肝臓、血管、脳室、気管、卵管など繊毛異常が認められやすい組織に対して、組織解析を行なった。多くの組織・器官での異常を期待していたが、腎臓における嚢胞化のみが観察される結果となった。最も期待していた内臓の左右逆位は10腹、91個体の変異マウスを観察したが、1例も観察されなかった。現段階は、残念なことにマウスの系統維持が難しくなってきたため、一時コロニーを閉鎖し、凍結精子から新しく起こし直している段階で解析がストップしている。 標的が腎臓のみとなったので、今後の解析を進めるためには嚢胞化部位の特定が必要となる。そのために腎臓の透明化標本の作製を検討した。尿細管の形態を明らかにするために、基底膜の成分であるNidogen-1に対する抗体を3種類検討したが、腎臓の透明化には成功しているが、目的の抗体がうまく浸透することができず、条件を検討中である。また、Nidogen-1にmCherry蛍光物質をつなげたトランスジェニックマウスを譲渡してもらい、染色せずに観察できるか検討した。しかしながら、透明化することにより発現させた蛍光物質の褪色が観察され、尿細管形体の観察には利用できないことが明らかとなった。今後、この透明化による観察法を完成させ、嚢胞腎の解析を潤滑に進めることを期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析することになっていたマウスの繁殖が困難となり、維持していたコロニーを閉鎖して、保存していた精子からラインを起こし直すこととなった。そのため、研究の進捗に遅れが生じている。 しかしながら、今後の解析を行う上で必要な方法の検討を行なっており、マウスコロニーが回復した際には研究を進展させることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
腎臓の透明化標本の作製法を完成させる。尿細管形態を明らかにするために基底膜を染色する抗体を検討しているが、その種類を変更してより浸透しやすい条件にして行う。 変異マウスは現在、コロニーを拡大中であるので、解析できるコロニー規模までの回復を早急に目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析予定であった点変異マウスのコロニーを閉鎖したために、目的の解析を行うことができなかったために物品費などの使用が抑えられた。次年度において、遅れてしまった解析を進めることが必要であるために、初年度分と次年度分の予算を用いて、点変異マウスの解析および尿細管上皮細胞の初代培養の検討を行う。
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