研究課題/領域番号 |
21K08274
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金 恒秀 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (40745238)
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研究分担者 |
水野 正司 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20303638)
鈴木 康弘 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20584676)
石本 卓嗣 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00534835)
福井 聡介 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (90896060)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | SLE / ループス腎炎 / 補体副経路 / 補体制御因子 |
研究実績の概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)は多臓器に影響を及ぼす全身性の疾患である。ループス腎炎は近年の免疫抑制療法によっても予後は大きく改善したが、未だ多数の患者が末期腎不全に陥っている。自然免疫の一部である補体はSLEの病態に関わっていることは古くから知られており、新たな治療標的になると期待されている。本研究は、ループス腎炎における補体、特に副経路の病態への関わりを、①補体副経路活性系の抑制および②補体副経路制御系の増強の二つのアプローチで解明することが目的である。 ①に関しては、自然発症ループス腎炎マウス(MRL/lpr マウス)に対して補体副経路活性系の抑制を行った群において生存率や尿所見が予想に反して有意に悪化を認め、病理組織の作成・免疫染色などの解析を継続して行い、補体副経路の抑制がSLEの病態にどのように関与するのかを解明していく。 ②に関しては、補体副経路の制御異常のあるマウスに対してループス腎炎の誘導をイミキモド及びプリスタンを用いて行い、野生型とH因子遺伝子変異マウスを比較している。イミキモドに関しては当初フェノタイプが軽度で有意な差を認めていなかったが、薬剤投与量の調整によって肺胞出血や高度貧血など重症度が上がってきているため、マウスの数を増やすことで両群間に有意差がつくことが予測される。また、並行してプリスタン投与によるSLEモデルを開始することでより補体制御因子であるH因子の異常が病態へどのように関与しているかを明確にすることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人員の確保がCOVID-19の影響で当初の予定よりも2022年度も半年ほど遅れてしまい、昨年度の遅れを挽回できなかったことが主な原因である。また、動物実験室の改修に伴い、マウス飼育数の制限がかかったことも一因である。
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今後の研究の推進方策 |
人員及び動物飼育室の問題が解決したため、令和5年度は補体副経路活性系の抑制について、病理組織標本で免疫染色などの解析を行い、補体副経路の抑制がSLEの病態にどのように関与するのかの解明が大きく進むことが見込まれる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入試薬について、海外からの輸送による遅延、代替品を探す作業が多く、実験の計画に多少の影響が出たため。モデル動物に対してループス腎炎の誘導を薬剤を用いて行い、病態の関与を検討するため、病理組織・抗体価などの解析に充てる。
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