研究課題
1. 腹膜透析(PD)患者のPD排液から得られる中皮細胞の初代培養細胞(HMPC)を用いて補体活性化を検討した。3つの膜補体制御因子(CReg)、CD46、CD55、CD59について、PD継続期間の前後1年でPCR、FACSを用いて、mRNAと蛋白の発現を観察した。結果は、CD46、CD55、CD59の中で、CD46とCD59の発現が、mRNAレベルと細胞表面の蛋白発現の両方で有意に増加していることを確認した。一方で、CD55の発現には有意な変化を認めなかった。HMPC作成のために回収したPD排液中のsC5b-9レベルも低下していることを示し、一部を論文化した(Front Med. 9.972592, 2022)。2. 腹膜中皮細胞上のCReg発現の変化が起こる原因について、現在、長期PDが、生体の腹膜に与える影響、特に補体活性系と制御系のバランスに与える影響の検討を継続してすすめている。3. 腹膜中皮細胞株(Met-5A 細胞)の解析を継続中である。本年度は、1.で得られたHMPC上のCRegの変化について、乳酸、ブドウ糖、pHの影響、特に前者は反復刺激による影響を確認し、一部を論文化した(Front Med. 9.972592, 2022)。4. 腹膜傷害への治療介入を期待して、現在、これまで未知であった補体の終末経路を抑制する中和抗体を用いて、真菌性腹膜炎の実験動物モデルでの炎症細胞集積、脈管新生、及び線維化進展などの腹膜傷害の進展への補体終末経路の役割の検討を進めている。その結果、中和抗体により有意な腹膜炎症抑制効果が得られ、これをまとめて学会に発表し(EMCHD 2022)、現在投稿中である。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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