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2021 年度 実施状況報告書

腸内細菌のANCA関連腎炎への免疫学的関与の解明と病態制御への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K08287
研究機関昭和大学

研究代表者

久野 芳裕  昭和大学, 医学部, 講師 (20718639)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード腸内細菌 / ANCA関連腎炎 / 制御性T細胞 / NETs
研究実績の概要

本研究は、MPO-ANCA関連腎炎モデルマウスを作製し、一部の腸内細菌に誘導される制御性T細胞(Treg)をはじめとする抗炎症性免疫応答が、腎炎の病勢にどのような改善効果をもたらすかを検討することを目的としている。一般に、クラスターⅣ/XⅣaに分類されるClostridium属など一部の腸内細菌群がTregを分化・誘導することが報告され、またTregのCCR6欠損型腎炎モデルマウスに野生型Tregを移植すると腎の形態的・機能的改善がみられたなど、Tregによる腎炎の病勢への関連性が示唆されてきた。

本年度はMPO-ANCA関連腎炎モデルマウス作製と、腸内細菌叢を構成する細菌群のうち制御性T細胞を誘導する菌群の分離までを目的としていた。まずMPO-ANCA関連腎炎モデルマウス作製において、野生型マウスでのMPO免疫法やプロピルチオウラシル+PMA投与での腎炎誘導を試みたが、安定した腎炎疾患モデル作製に至らなかった。現在はMPO K.O.マウスを導入し、このMPO K.O.マウスをマウスMPO+adjuvantで免疫し得られた脾細胞ないし免疫グロブリンを、野生型マウスへ移入し腎炎を誘発させるモデルを作製中である。
また、腸内細菌叢のうち制御性T細胞を誘導する菌群の分離についても進行中である。すなわち、SPFマウスの盲腸~上行結腸内の腸内容物を採取し、速やかに嫌気的条件で液体培地に懸濁・クロロホルム処理することで好気性菌と通性嫌気性菌を排除し、得られた偏性嫌気性菌群のうち制御性T細胞を誘導するとされる一部のClostridium属などの菌群の分離を行っている。これをビニルアイソレータ―内で飼育している無菌マウスに経口投与し、ノトバイオート化マウスでの菌の分離を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度はMPO-ANCA関連腎炎モデルマウス作製と、腸内細菌叢を構成する細菌群のうち制御性T細胞を誘導する菌群の分離までを目的としていた。MPO-ANCA関連腎炎モデルマウス作製段階において、野生型へのMPO免疫法やPTU+PMA投与での安定した腎炎誘導が得られず、現在はMPO K.O.マウスを用いる方法へ切り替えて試験中である。細菌群の分離においては現在ノトバイオート化マウスを用い作製中であるが、最終的な菌の精製と制御性T細胞の誘導能を確認するまでに至っていない。
また、新型コロナウイルス蔓延により、本学動物実験施設における動物搬入と飼育個体数への制限が設けられ、必要な実験遂行が困難であったことも要因である。
以上の状況を鑑み、現段階における本研究の進捗状況はやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

当初予定していた方法(野生型マウスへのMPO免疫やPTUを用いたANCA誘導)から、新たにMPO K.O.マウス導入による方法での安定した腎炎発症モデルの作製を継続する。MPO K.O.マウスをマウスMPO+adjuvantで免疫し、得られた脾細胞ないし免疫グロブリンを野生型マウスへ投与する、MPO-ANCA関連腎炎モデルマウスの作製を進めていく。免疫するMPO用量や、腎炎発症のために投与する脾細胞数ないし免疫グロブリン投与量を検討し、安定した腎炎モデルを得られるよう進める。
また、現在作製中の制御性T細胞を誘導させる細菌群の分離も継続するとともに、無菌マウスを用いこれらの菌群の制御性T細胞の誘導能についても評価していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う本学動物実験施設でのマウス搬入・購入と飼育数制限がかかったことや、MPO-ANCA関連腎炎モデルマウス作製の遅れによる実験計画自体の遅延に伴い、予定計画通りに物品購入がされなかったことが次年度使用額が生じた理由である。
次年度は腎炎発症評価のための解析に用いる試薬・物品購入や、Treg誘導のために分離した腸内細菌叢由来の細菌群の菌叢解析を予定しており、未使用額は当初の予定通りこれらの費用として使用する計画である。

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公開日: 2022-12-28  

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