研究課題/領域番号 |
21K08291
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 恭彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60402632)
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研究分担者 |
石本 卓嗣 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00534835)
水野 正司 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20303638)
武井 佳史 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (70362233)
畑山 直之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (80534792)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Glycocalyx / 糸球体内皮細胞 / 蛋白尿 / ヒアルロニダーゼ / 抗VEGF抗体 / TMA |
研究実績の概要 |
本研究は、『内皮細胞Glycocalyxをターゲットとした腎疾患の新たな治療戦略の確立』を目的として進めている。タンパク尿発現における糸球体内皮細胞におけるGlycocalyxの役割を検討した。 糸球体内皮細胞表面にはglycocalyxとよばれる糖タンパクがあり、この障害が蛋白尿発生にかかわると近年報告されているが、どの構成成分がかかわっているのか明らかではない。構成成分であるヒアルロン酸(HA)の役割を解明することを目的とし、ex vivo、in vivoで検討した。HAの消化酵素であるヒアルロニダーゼ(Hya)をラット単離腎に還流することで、糸球体内HAを検出すべくHA結合タンパク染色(HABP)の消失と還流液中HAの上昇を見出した。その後、単離腎をアルブミン添加還流液で還流すると蛋白尿が発現した。この蛋白尿は、単離腎Hya処理後、HAを投与し糸球体HAを再構築すると蛋白尿は消失した。これらの所見は、HABP染色と灌流液HA濃度測定で確認した。さらに、マウスにHyaを全身投与すると糸球体HA消失、血中HA上昇とともに蛋白尿が発現した。ヒト腎組織で抗VEGF抗体によるthrombotic microangiopathy(TMA)や内皮細胞障害を伴う妊娠高血圧症候群では、形態が保たれている糸球体を含めてHABP染色が著減しており蛋白尿発現に関与していることが示唆された。ヒアルロン酸は内皮細胞障害に起因する蛋白尿発現に深く関与すると考えられ、ヒアルロン酸投与再構築が新規治療ターゲットとなる可能性が考えられた。 本研究の成果を論文化し、Physiol Rep. 9(17):e15019, 2021に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果を論文化し、Physiol Rep. 9(17):e15019, 2021に報告できた.
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今後の研究の推進方策 |
腹膜透析の透過性、タンパク漏出における役割に付き検討を進めているので、論文化めざしすすめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は、過去に購入した抗体等を活用したので次年度繰越金が発生した。研究は順調に進み論文化まで出来ている。
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