研究実績の概要 |
1.東北メディカルメガバンク(ToMMo)の日本人約20,000人のゲノムデータを解析し、アトピー性皮膚炎の既往のある群と健常群の間で保有率に有意差のあるCARD11遺伝子バリアントを抽出した。得られたCARD11遺伝子バリアントの一覧と正常集団との比較解析を行い、病的と考えられる候補バリアントを抽出した。 2.筑波大関連施設で収集したアトピー性皮膚炎患者(78名)の末梢血から胚細胞系列細胞のDNAを抽出し、次世代シーケンサを用いた全エクソン解析を行った。同定したCARD11遺伝子バリアントが、既報のCARD11遺伝子バリアントと一致するか、また既報にない場合はアトピー性皮膚炎の病的候補バリアントとなり得るかをAlleleの頻度情報や、遺伝子変異と疾患関連性に関するデータベース等をもとに検討した。また、バリアント毎の臨床像およびリンパ球機能を把握するため、収集した患者の診療録および血液検査結果の後方視的調査、リンパ球解析(フローサイトメトリー)を実施した。 3.筑波大関連施設で収集したアトピー性皮膚炎患者(78名)において、1で抽出した病的候補バリアントの保有の有無をダイレクトシークエンスにより確認し、変異保有者を同定した。また、CARD11遺伝子変異以外にアトピー性皮膚炎と関連が示唆される遺伝子の変異がないか確認するため、その代表遺伝子としてフィラグリン遺伝子の変異の有無をダイレクトシークエンスにより確認し、変異保有者を同定した。 4.筑波大関連施設で収集した患者において、CARD11蛋白のmRNA定量解析を行った。3で抽出した病的候補バリアントの保有者において、mRNAの発現が低下しているか確認した。 5.筑波大関連施設で収集したアトピー性皮膚炎患者(19名)の末梢血ならびに健常対照者(14名)の末梢血からリンパ球を分離し、ダニ特異的T細胞の解析を行った。
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