研究課題
1.表皮角化細胞の細胞死におけるカルパイン1の関与の解析proFLG-N誘導細胞死においてproFLGに連続する反復配列構造のカルパイン1による切断が重要な役割を担っているか検討するため、siRNAによりカルパイン1を抑制した表皮角化細胞に、proFLG-A、proFLG-ABTの各コンストラクトを導入しTUNEL陽性細胞数を計測した。その結果カルパイン1の有無にかかわらずTUNEL陽性細胞数に差はみられず、また核内に移行したproFLG-ABT蛋白質を反復配列構造を認識する抗体で染色したところ同部位の核内での局在が確認された。以上よりproFLG-Nの核内移行にはカルパイン1により反復配列構造の切断は関与していないと考えられた。2..proFLG-ABTと核内で結合する分子の角化への関与の検討これまでにLC/MS/MS解析にてproFLG-ABTと核内で結合する可能性を持つ蛋白質を15種同定している。過去の論文報告を参考にして、これらの蛋白質のうちERH、SOCS7、eIF6の表皮角化細胞における発現を検討した。表皮角化細胞から抽出したmRNAを用いた定量的PCR法により皮膚における発現が確認された。さらにこれらの分子の発現をsiRNAで抑制したところいずれの分子でも発現の抑制により細胞増殖も抑制された。
2: おおむね順調に進展している
現在カルパイン1抑制表皮角化細胞でのAIFの動きの検討や、DNAase抑制表皮角化細胞におけるproFLG-N誘導細胞死に関する実験も順調にすすんでいるため。
proFLG-N誘導細胞死におけるカルパイン1とAIFの関連を免疫沈降や蛍光2重染色などで解析する。proFLG-Nと結合する蛋白質であるERH、SOCS7、eIF6の表皮おける局在や機能を解析する。また皮膚癌におけるこれらの蛋白質の発現を検討する。
本年度の残高が17337円と少額であったため、必要な抗体の購入ができなかった。次年度の予算と合わせ抗体の購入予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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