研究課題/領域番号 |
21K08298
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
藤本 徳毅 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50378460)
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研究分担者 |
高橋 聡文 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70630862)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | IL-36 / IL36RN / IL-38 |
研究実績の概要 |
lentiCRISPR v2を用いてIL36RN遺伝子をノックアウトしたHaCaT細胞の複数のクローンでIL-36Raタンパクの発現を検討したところ、ウエスタンブロットではたんぱくの発現は消失していたがqPCRではmRNAは発現は認め、一定しない結果であった。そのため、ウエスタンブロットでIL-36Raをうまく同定出来ていない可能性があり、IL-36Raの発現に関しての検討を行った。まずは、HaCaT細胞においてqPCRでIL36RN mRNAの発現が増加する条件を探した。過去の報告ではTNF-a+IL-17Aの刺激で強く発現するということであったが、TNF-a+IL-17AやIL-1b、LPSなどの刺激では増加せず、EGFR阻害薬やMEK阻害薬ではほとんど減少せず、TNF-a刺激24時間後に2倍程度の増加が見られた。しかし、実験によりかなり発現のバラツキが大きかった。我々の過去の報告でも、掌蹠膿疱症などの膿疱性疾患の皮疹部での免疫組織化学染色では顆粒層に強く発現しており、培養角化細胞におけるIL-36Raの発現は、細胞の分化、角化の程度によりかなり影響される可能性を考えた。すなわち、HaCaT細胞の分化がIL-36Ra発現に影響を与える仮説のもと、高カルシウムの培養液で培養したHaCaT細胞を用いて、各種刺激とIL-36Raの発現を検討しているところである。また、ウエスタンブロットに関しては、血清やスキムミルクでブロッキングしてモノクローナル抗体で同定する方法では、IL-36Raタンパクを十分に濃いバンドで同定出来ないことが判明した。種々の条件を試した結果、ブロッキングせずにポリクローナルな抗体を用いれば、十分濃いシングルバンドが同定できることが分かった。現在、IL36RN遺伝子だけではく、IL38遺伝子をノックアウトしたHaCaT細胞も平行して作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウエスタンブロットでIL-36Raタンパクの発現を検討していたが、従来の方法では不適切であることが判明し、その適切な条件を検討するのに時間を要した。また、IL36RN mRNAに関しては過去の報告のような刺激では十分に発現が増量しないことが判明し、そもそもIL-36Ra発現が増強される条件を検討をする必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
LentiCRISPR v2を用いてIL36RN、IL38遺伝子の機能欠損変異させたHaCaT株を確立し、IL-36、イミキモド、抗菌ペプチド(dermcidine、LL-37、 human beta defensinなど)、プロテアーゼ(カテプシンG、エラスターゼ、 プロテアーゼ3)などの刺激によるTNF-a、IL-6、 IL-8などのサイトカイン産生能とNF-kBのリン酸化における、IL-36RNやIL-38遺伝子の役割について解析する。また、HaCaTにおける角化の状態とIL-36RaやIL-38の発現も検討する。
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