HaCaT細胞においてqPCRでIL36RN mRNAの発現が増加する条件を探した。過去の報告ではTNF-a+IL-17Aの刺激でIL-36Raタンパクの発現が増加するということであったが、TNF-a+IL-17AやIL-1β、LPSなどの刺激ではIL36RN mRNAの発現は増加しなかった。また、EGFR阻害薬やMEK阻害薬ではほとんど減少せず、TNF-a刺激24時間後に2倍程度の増加が見られたが、実験によるバラツキが大きかった。そのバラツキの原因は、HaCaT細胞におけるIL36RN mRNAの発現が角化や分化に大きく影響されているためではないかと考え、培養液のカルシウム濃度を変えるなどしてIL36RN mRNAの発現に影響を与える培養条件を探した。しかし、IL36RN mRNAの発現に大きな影響を与える培養条件は見いだせなかった。次に、lentiCRISPR v2を用いてIL36RN遺伝子をノックアウトしたHaCaT細胞を作成した。ウエスタンブロットでたんぱくの発現がないことを、qPCRでmRNAは発現がないことを確認した。このIL36RN遺伝子をノックアウトしたHaCaT細胞株と通常のHaCaT細胞をIL-1β、Dermcidin-1L、LL-37、β-Defensin-2、Poly(I:C)、LPSで刺激して、TNF-α、IL-6、IL-8の発現をELISAおよびqPCRで比較したが、有意な差は見いだせなかった。IL-38遺伝子のノックアウトおよびIL36RN遺伝子とIL-38遺伝子をノックアウトしたHaCaT細胞の作成を試みたが、それらの細胞株は樹立することが出来なかった。
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