研究課題/領域番号 |
21K08299
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
細川 玲 (渡辺玲) 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (60463866)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 皮膚免疫 / 皮膚resident memory T細胞 |
研究実績の概要 |
本申請期間において、複数の年齢層のヒト検体における血液、表皮、真皮T細胞のFABP4/FABP5発現を、flow cytometry、immunofluorescenceの手法を用いて比較した結果をさらに蓄積した。その結果、表皮、真皮T細胞に発現上昇するFABP4/FABP5のいずれも、高齢者において発現強度が高まる傾向があることが判明した。FABP4/FABP5の発現上昇はCD69.CD49aといったresident memory T細胞のマーカーとみなされる分子を発現する細胞でより強い傾向があることも、前年度と同様の結果として得られた。加齢に伴い個々のresident memory T細胞のFABP4/FABP5発現が高まることが、加齢に伴う皮膚resident memory T細胞の機能変化と関わっている可能性が考えられた。FABP4/FABP5の関わるresident memory T細胞の機能として、細胞可塑性の可能性を考え、加齢に伴うresident memory T細胞の機能変化におけるFABP4/FABP5の役割を検証していく。 また、FABP4floxedマウス、FABP5floxedマウスを作出し、T細胞特異的FABP4欠損マウス、FABP5欠損マウスにおける接触皮膚炎(CHS)モデルでの検討も進められた。その結果、T細胞特異的FABP5欠損マウスにおいて、全身型FABP5欠損マウスと同様に、resident memory T細胞介在性のCHS応答が減弱することが判明した。同マウスにおいても、全身型欠損マウスでの検証と同様に、皮膚resident memory T細胞の構築自体は野生型と変わらず生じたため、FABP5が皮膚resident memory T細胞の維持と機能発現に関わる分子であることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト検体の解析、マウスの作出、マウスモデルの作出、検討いずれも、おおむね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト皮膚resident memory T細胞における解析では、RNAseq解析、PLAの手法などから、FABP5が特定の分子と結合して核内移行し、resident memory T細胞の機能保持に関わる遺伝子の転写活性に影響を与えている可能性が示唆されている。転写調整の解析に必要とされる細胞数が多いため、今後、in vitroで作出したresident memory T細胞様細胞を用いて、その検証を詳細に進める予定である。 マウスでの検討においては、T細胞特異的FABP5欠損マウスのresident memory T細胞介在性CHS応答の初期反応が野生型マウスと比較して減弱していることが判明しており、構築されたresident memory T細胞の発現分子を野生型マウスとT細胞特異的FABP5欠損マウスとで比較することで、resident memory T細胞機能におけるFABP5のかかわりを検証する予定である。
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