研究課題/領域番号 |
21K08306
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
浅田 秀夫 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60252681)
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研究分担者 |
新熊 悟 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00613788)
森 康子 神戸大学, 医学研究科, 教授 (50343257)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 薬剤性過敏症症候群 / DIHS / ヒトヘルペスウイルス / HHV-6 / 再活性化 / 持続感染 / 自己免疫疾患 |
研究実績の概要 |
薬剤性過敏症症候群(DIHS)は多臓器障害を伴う重症薬疹の一つである。経過中にHHV-6の再活性化を生じ、症状の遷延化、重症化に関わっている。本疾患のもう一つの特徴は、回復期にⅠ型糖尿病、慢性甲状腺炎などの自己免疫性疾患を発症することであるが、その機序は不明である。 われわれはこれまでにDIHSにおけるHHV-6持続感染患者では、回復期に高率に自己免疫性疾患を発症することを見出したが、この事実を踏まえて、本研究ではHHV-6持続感染が患者の免疫状態におよぼす影響を明らかにすることにより、DIHS後の自己免疫疾患の発症機序の解明を目指している。 今回の研究では、まずDIHS後にHHV-6の持続感染をきたした患者について、持続感染期におけるHHV-6感染の局在を解析した。その結果、HHV-6は主にCD4 central memory T細胞に持続感染していることが明らかになった。 次に、DIHS後に自己免疫疾患を発症したHHV-6持続感染群と、合併症をみとめなかった一過性感染群について、急性期と回復期のPBMCを用いてscRNA-seqを行い、両群の各病期における免疫細胞サブセットの変遷、免疫細胞ごとの遺伝子発現の変遷を解析した。その結果、一過性感染群急性期にはCD14 単球系細胞の増加および活性化がみられたのに対して、持続感染群急性期では単球系細胞の増加・活性化はほとんどみられず、発症早期の単球系細胞の反応性の低下がその後のHHV-6持続感染に関わっている可能性が示唆された。 また、持続感染期におけるHHV-6の主なreservoirであるCD4 central memory T細胞では免疫関連遺伝子を含む複数の遺伝子が特異的に発現亢進していることが明らかになり、この細胞の自己免疫疾患発症への関与ならびに今回同定された遺伝子のHHV-6持続感染への関与が推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
われわれはDIHSにおけるHHV-6持続感染患者が回復期に高率に自己免疫疾患を発症することを踏まえて、初年度の研究では、まずDIHS後にHHV-6の持続感染をきたした患者について、持続感染期におけるHHV-6感染の局在を解析した。その結果、HHV-6は主にCD4 central memory T細胞に持続感染していることが明らかになった。 次に、DIHS後に自己免疫疾患を発症したHHV-6持続感染群と、合併症をみとめなかった一過性感染群について、急性期と回復期のPBMCを用いてscRNA-seqを行い、両群の各病期における免疫細胞サブセットの変遷ならびに免疫細胞ごとの遺伝子発現の変遷を解析した。その結果、持続感染期のHHV-6のreservoirであるCD4 central memory T細胞において免疫関連遺伝子を含む複数の遺伝子が特異的に発現亢進していることが明らかになり、この細胞の自己免疫疾患発症への関与、ならびに、今回同定された遺伝子のHHV-6持続感染への関わりが推測された。 また、一過性感染群の急性期には単球系細胞の増加・活性化がみられたのに対して、持続感染群では急性期の単球系細胞の活性化や増加はほとんどみられず、発症早期の単球系細胞の反応性の低下がその後のHHV-6持続感染に関わっている可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、DIHS後に自己免疫疾患を発症したHHV-6持続感染群において、ウイルスの主なreservoirがCD4 central memory T細胞であることを見出し、この細胞において特異的に発現亢進している遺伝子候補を複数同定した。さらに急性期における単球系細胞の低反応性がHHV-6持続感染に関わっている可能性を示した。 今年度は、昨年度見出した自己免疫疾患関連遺伝子ならびにHHV-6持続感染関連遺伝子の候補について症例数を増やして検証をすすめるとともに、これらの候補遺伝子の機能解析を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の森 康子教授(神戸大学)に担当していただく研究は次年度以降に実施することになったため、その費用を繰り越した。
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