研究課題/領域番号 |
21K08312
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
長田 真一 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00244484)
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研究分担者 |
大塚 洋平 日本医科大学, 医学部, 助教 (30637856)
緒方 大 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (30724710)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 細胞極性 / メラノーマ / aPKC / 転移 / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
atypical protein kinase C (aPKC)-PAR複合体は、種を超えて細胞極性を制御している。上皮系のがんでは、aPKC-PAR 複合体は、転移時に起こる上皮間葉転換を制御しているだけでなく、免疫監視機構にも影響を与えていることが明らかになり注目されている。 がんの遺伝子発現データベースであるGEPIAによると、メラノーマでは、aPKCζ の発現は正常組織とほとんど変わらないのに対し、aPKCλ/ιの発現は約半分に、Par3の発現は約1/5に低下している。しかし、このaPKCλ/ιとPar3のメラノーマにお ける発現低下の生物学的、臨床的な意義は不明である。 本研究では、細胞極性がメラノーマの転移、およびメラノーマに対する免疫応答に、どのような影響を与えるのかを調べることを目的とし、以下の3つの大きな課題に取り組んでいる。1)aPKC-PAR 複合体を構成する aPKCζ、aPKCλ/ι、Par3をノックダウン、または高発現させたメラノーマ細胞株を樹立し、in vitroで樹立した細胞株の生物学的特性を解析する。2)1)で樹立した細胞ををマウスに注射して造腫瘍性、転移能、腫瘍免疫応答を in vivoで解析する。3)メラノーマの病理組織標本を用いて、aPKCζ、aPKCλ/ι、Par3の発現レベルと悪性度、治療抵抗性との関係を解析する。 令和3年度は1)に注力し、我々が独自に樹立した、ヒト・メラノーマで高頻度にみられる活性化型 BRAF 変異 (BRAFV600E)、および Pten 欠損をもつメラノーマ細胞 (BRAFV600E; Pten-/-細胞)でaPKCζ、aPKCλ/ι、Par3をノックダウン、または高発現させた細胞株の樹立を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、aPKCζ、aPKCλ/ι、Par3の発現を一時的ではなく、恒常的に増減させたメラノーマ細胞株の樹立を目指した。発現が低下した細胞株を樹立するために、発現抑制効果が既に保証されているshRNAを組み込んだベクタ―を購入した。このベクターは低コピー性であるためか、研究に必要な収量を得るのに時間がかかったが、現在BRAFV600E; Pten-/-細胞にトランスフェクションし、抗生物質でのセレクションを行っているところである。研究を開始した時点では、aPKCζ、aPKCλ/ι、Par3をノックダウンすると、メラノーマの増殖能が高まり、悪性度が増すことを予想していたが、これらの遺伝子がノックダウンされたと考えられる細胞株ではむしろ増殖が落ちている印象を持っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、1)の細胞株の樹立が研究の律速段階であるが、令和4年度の早期には、計画していたすべての細胞株がそろう予定である。これらの細胞がそろい次第、それぞれの細胞株の生物学的特性を親株(BRAFV600E; Pten-/-細胞)と比較しながらin vitroで解析する。続いて、マウスに注射して造腫瘍性、転移能、腫瘍免疫応答をin vivoで解析する準備に入る。また、並行して研究計画3)を遂行するために、メラノーマの病理組織標本の収集し、aPKCζ、aPKCλ/ι、Par3の発現を免疫染色で調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は細胞培養の実験が主だったこと、in vitroで樹立したメラノーマ細胞の遊走能、浸潤能を定量解析するためのプレートが、新型コロナウイルス感染症によるサプライチェーンの停滞の影響で国内在庫がなく、海外発注になった(未だに納期は未納である)ことで未使用額が残った。令和4年度はマウスを用いた実験を始める予定で、マウス購入費、飼育管理費等に未使用額を充当する予定である。
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