研究実績の概要 |
申請者は,表皮のみでマウスBp230遺伝子が欠損するコンデショナルノックアウトマウスを作成した.そのマウスではBP230の表皮特有ドメインが異物として認識されることを利用して,抗BP230自己抗体産生を可能にし,新しい水疱性類天疱瘡モデルマウスの作成に成功している.そのモデルマウスやそのマウス作成戦略を用いて,抗BP230自己抗体の詳細な解析や抗BP230抗体を有する類天疱瘡の病態解明を行うことが,本研究の目的である. 令和3年度から令和4年度は,そのモデルマウスにおけるBP230に対する自己抗体の病原性やエピトープの解析を行った. モデルマウスの脾細胞とマウス骨髄腫細胞株を融合し,ハイブリドーマー陽性クローンを得た.その後,陽性クローンのエピトープの解析をペプチドマイクロアレイ法にて行った.さらに, 外傷,UVB照射,接触皮膚炎が,モデルマウス誘発や症状の重症化に関与するかを確かめた. 令和5年度は, このモデルマウスを用いて,あたらしい治療剤である, 抗IL17抗体や抗IL23抗体の治療効果を検討した.近年,BP230遺伝子変異で生ずる単純型表皮水疱症の存在が報告された.そこで,遺伝子編集の技術を用いて単純に,表皮特有ドメインに一致するエクソンに,数塩基を挿入し点変異マウスを作成する.
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