研究課題
乾癬患者では、脂肪肝炎や冠動脈疾患の有病率が高いことが報告されている。しかし、乾癬が、脂肪肝炎や動脈硬化/心筋障害を悪化させるかどうかは明らかにされていない。イミキモド(Imiquimod:IMQ)を用いたモデルがよく用いられるが、病型が変化するため一か月以上の実験は困難である。そこで本研究では、長期間の実験が可能なK5.Stat3C Tg乾癬モデルマウスを用いて、乾癬が、脂肪肝炎や動脈硬化/心筋障害を悪化させるかどうかを解析することとした。また、乾癬が動脈硬化の進展を促進するかどうかを調べるために、乾癬マウス(K5.Stat3C Tg)を動脈硬化モデルマウス(LDLR-KO)と交配し、解析することとした。
2: おおむね順調に進展している
8週齢のコントロールマウス群(C57Bl/6)、乾癬マウス群( K5.Stat3C Tg)に、高脂肪食を4週間負荷し、背部皮膚及び肝臓組織の、組織化学的解析(HE染色、マイクロファージ(F4/80)免疫染色)を行った。その結果、コントロールマウス群に比べ、乾癬マウス群で、背部皮膚の表皮層の肥厚が認められ、肝臓でもマクロファージの浸潤のなど増加炎症を示唆する所見が得られた。今後、遺伝子、蛋白発現の網羅的解析を行い、乾癬と脂肪肝炎の間のクロストークを明らかにする予定である。K5.Stat3C Tg/LDLR KOマウスはその後の交配等に問題はなく、系統維持が可能であることが分かった。今後、乾癬の有無が動脈硬化の進展に与える影響について、解析を進めていく予定である。
乾癬と脂肪肝炎に関して、乾癬様皮膚炎由来のサイトカイン、ケモカインが脂肪肝炎を悪化させていないか、脂肪肝炎由来のヘパトカインが乾癬を促進していないかなどに注目し網羅的解析を行う予定である。乾癬と動脈硬化に関して、8週齢の LDLR KOマウス及び K5.Stat3C Tg/LDLR KOマウスに高脂肪食を8週間負荷し、乾癬の有無が動脈硬化の進展を促進するか検討する。
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Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
巻: 29 ページ: ー
10.5551/jat.63348
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 2996
10.1038/s41598-022-06542-8