プラズマは固体・液体・気体に続く物質の第4の状態で、電離し陽イオンの原子核と陰イオンの電子が自由に運動している状態である。本研究では非平衡大気圧プラズマを培養角化細胞、三次元培養皮膚へ照射し、その抗炎症作用を明らかにし、標的分子、細胞レベルでの作用機序を解明する。一方、プラズマ照射した液体は活性化され間接作用があることも明らかになっている。そこで、プラズマ直接照射のみならず照射液体の作用も確認する。 1.プラズマの角化細胞への直接作用の解析:作用機序からプラズマは角化細胞に対して、細胞増殖、細胞遊走能亢進の作用を有していると想定している。培養角化細胞、三次元再構築皮膚にプラズマを照射し、細胞増殖、遊走能、分化誘導を検討した。すでに我々は照射で細胞障害性が出ない最適条件(電圧、波長、照射時間)を決定している。その結果、増殖・分化には影響がなかったが、遊走能は亢進していた。 2.標的分子の解析:作用機序から想定されるEGFRを始めとする膜上の各種レセプターを解析した。EGFRが活性化されており、その結果としてERK経路が活性化されたと考えられる。 3.プラズマによる免疫抑制作用の解析:疾患モデルとして乾癬を想定した。培養角化細胞を用いた乾癬モデルにおいて、乾癬にかかわる抗菌ペプチドの発現がプラズマ照射で抑制された。 4.プラズマ照射液の解析:まず、プラズマ照射前後で培養液のpH、濃度、温度変化による影響がでないこと、凍結保存が可能である点を確認した。さらに、照射液にも同様に遊走促進、抗菌ペプチド産生抑制の作用があった。
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