研究課題/領域番号 |
21K08335
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
石井 健 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50296670)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 天疱瘡 / 自己免疫 / 細胞接着 |
研究実績の概要 |
天疱瘡は、デスモゾームに局在するカドヘリン型の細胞接着因子であるデスモグレイン(Dsg)に対するIgG自己抗体により皮膚、口腔粘膜に水疱、びらんを生 じる自己免疫性水疱性疾患である。申請者は、最近、組換えDsg蛋白、組換えデスモコリン(Dsc)蛋白をビーズに固相化したビーズ凝集法 を開発し、デスモ ゾームにおける細胞接着は、Dsg同士のホモフィリック結合より、DsgとDsc間のヘテ ロフィリック結合がより重要であることを確認した。また検討した天疱瘡患者血清全例が、このDsgと Dscのヘテロフィリック接着を抑制し、患者血清中には、DsgとDsc間結合を細胞内シグナルを介さず に抑制する自己抗体が存在することが示した。 本年度は、天疱瘡血清のDsg/Dsc接着阻害活性を定量的に検出する方法を検討した。血清を希釈倍率で表示することにより接着阻害活性を数値化することを試みた。接着阻害活性を経時的に観察し、疾患活動性と並行し推移するかを観察した。落葉状天疱瘡4例中3例において、接着阻害活性は、疾患活動性の指標であるPDAI(pemphigus disease area index)と並行して推移していた。また、16症例の落葉状天疱瘡患者の血清と用いて、接着阻害活性とPDAIの相関関係を検討したところ、Dsg1抗体価とPDAIでは、相関性は認めなかったが、接着阻害活性とPDAIでは相関性を認めた。このことは、Dsg/Dsc接着を直接阻害する機序が天疱瘡の病態にとって重要であることを示している。 また、天疱瘡血清中の抗Dsc3抗体は、DsgとDscのヘテロフィリックな接着を直接阻害することを明らかにした。これはJournal of Investigative Dermatologyに投稿し受理されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年10月に東邦大学から現職の、東京歯科大学に異動となったため、研究環境整備のため遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
東京歯科大学にて研究環境を整備するとともに、東邦大学との共同研究を進めていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年10月から所属が東京歯科大学に異動になったため研究環境整備に時間がかかっている。他科とも連携して整備していく。東邦大学との共同研究を進めていく方針である。
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