研究課題/領域番号 |
21K08339
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤澤 康弘 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70550193)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 深層学習 / 皮膚腫瘍 / 人工知能 / 分類 |
研究実績の概要 |
これまで研究を進めてきた皮膚腫瘍の分類システムについて,異常検知システム(皮膚腫瘍以外の画像を入力したときにそれを弾くシステム)を組み込むこととし,そのシステムを検証している.現時点では,皮膚腫瘍以外の画像を98%以上の確度で異常検知できるが,一方で皮膚腫瘍画像の一部(<2%)も異常として検知するため,このセッティングで良いかの検討を行っている. 分類システム本体については,並列のEnsembleでは無く縦のTandem型に繋げる方式とし,特定のクラスに入った場合のみ次の分類機で再分類する.この方式にすることで分類ミスが起きやすい特定の診断クラスの分類精度を向上させることができると考えた.結果,再分類により正しいクラスに分類された画像もあったが,逆に正しいクラスから誤ったクラスに分類されてしまう画像も出てきたことから,軽度の精度向上に留まっている.これも再度の調整が必要と考えている. デジタルバイオプシーシステム構築のために現在,臨床画像と病理バーチャルスライドのセットの作成を行っており,現在までに4318症例データを収集している.このデータセットには様々な皮膚疾患が含まれており,しかも臨床画像と診断とがリンクしているため他に無い優良なデータベースとなる素地がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単一のAIで判定するより,今回考案したTandem型のシステムによる精度向上に向けた取り組みは順調に進んでいる.また,今後一般使用を考えたときに必要となる不適切画像の除外システムも実装テストも開始しており,皮膚腫瘍の分類システム研究は順調に振興していると考えている. デジタルバイオプシーシステム構築についても,必要な素材の収集は順調に進めており,今後はデータの突き合せとクレンジングと進めていく.
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今後の研究の推進方策 |
皮膚腫瘍の分類システムについては,異常検知システムの調整が済んだ段階でフィールドテストを検討している.現場の医師(皮膚科専門医だけでなく,他科の先生を含め)による正答率とAIシステムとを比較することで,このシステムの有用性を証明し,今後の臨床開発に繋げていく計画である.テストに向けた倫理委員会の申請など,手続きも開始している. デジタルバイオプシーシステム構築については,データセットの作成が終了しないと開始が出来ないため,その整備を進めていく. しかし,2022年5月1日付で愛媛大学に異動したことで,異動先での各種セットアップ(書類手続きやパソコン等)に時間がかかるため,2022年度の進行は予定より少し遅れる可能性がある.
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