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2022 年度 実施状況報告書

尋常性白斑におけるメラノサイト消失機構の解明と制御

研究課題

研究課題/領域番号 21K08356
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

福田 桂太郎  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (60464848)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードメラノサイト細胞死 / ロドデンドロール / 細胞内Caイオン / 細胞内pH / ヘモグロビン
研究実績の概要

細胞死には、アポトーシスなど様々な形態が存在するが、細胞死後に残された細胞体は、核、ミトコンドリアなど多くの起炎物質を含み、不必要なものとして貪食細胞により除去される。ところがメラノサイトは、炎症をほとんど起こすことなく、消失していく。我々は、メラノサイト同様に炎症を起こすことなく細胞死に至る角化細胞では、細胞内のカルシウムイオン(Ca2+)濃度が約1時間上昇した後、Ca2+濃度が高いまま細胞内が酸性化することをライブイメージング法にて発見した。そこで、我々は、ロドデンドロールなどの薬剤によって生じるメラノサイト細胞死にはCa2+濃度やpHの変化が寄与しているか明らかにするため、Caイオンプローブ(GCaMP及びRCaMP)やpHプローブ(Venus-mCherry)を発現するヒト初代表皮メラノサイトを作製することに成功した。
メラノサイトはメラニン合成を行う細胞で、メラニン合成には、酸素(O2)が必要であることが知られている。しかし、表皮に存在するメラノサイトに、どのようにO2が供給されるのか、その詳細なメカニズムは不明である。我々は、表皮上層に特異的に発現する遺伝子群を、マイクロアレイやRNA-seqを用いて網羅的に発現解析を行った。その結果、ヘモグロビンα(HBA)のmRNAが、ヒトとマウスの表皮上層で高発現していることが明らかにした。さらに、ヒト・マウス皮膚の免疫染色解析にて、HBAタンパク質が、特に毛包峡部の角化細胞で高発現していることを発見した。毛包峡部のヘモグロビンによってO2がメラノサイトに供給される可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

メラノサイトにCaイオンプローブ、pHプローブを導入することに時間を要した。またメラノサイトを表皮に発現しているK14-SCFヘアレス(HR)マウスにおいてメラノサイト特異的に(チロシナーセプロモーター下に)Venus-mCherryを発現するK14-SCF:HRマウス(メラノサイトpHイメージングマウス)、GCaMPとRCaMPを発現するK14-SCFマウス(メラノサイトCa2+イメージングマウス)の作製に時間を要し、メラノサイト細胞死の過程をin vivoで確認する系がようやくできつつあるため。

今後の研究の推進方策

1. Ca2+濃度やpHの変化がメラノサイト細胞死に与える影響の検証
K14-SCF:HRマウスにロドデンドロールを塗布すると2週間で白斑が誘導されることが知られている。そこで、メラノサイトCa2+イメージング及びメラノサイトpHイメージングマウスに、ロドデンドロールを塗布し、メラノサイト細胞死の過程で、どのようにメラノサイト細胞内のCa2+やpHが変化して行くのか共焦点または2光子顕微鏡を用いてtime lapse観察する。また、Caイオンプローブ(GCaMP及びRCaMP)やpHプローブ(Venus-mCherry)を発現したヒト初代表皮メラノサイトにもロドデンドロールやメラノサイトを特異的に認識するCD8+T細胞を加え、メラノサイト細胞内のCa2+やpHが、どのように変化していくか共焦点顕微鏡を用いてtime lapse観察する。

2:毛包峡部のヘモグロビンがメラニン合成に与える影響の検証
毛包峡部のケラチノサイトではSox9が発現することが知られている。我々の研究室にはHBA floxマウス及びSox9 Creマウスが飼育されていることから、HBA floxマウスとSox9 Creマウス、または、K14-SCF:HBA floxマウスとSox9 Creマウスを交配し、これらの前者のマウスでは白髪、後者のマウスでは白髪およびアルビノになるか調べる。

次年度使用額が生じた理由

細胞培養に必要な試薬が、納期に間に合わず、次年度使用額が生じた。来年度は、この試薬を用いて、in vitroにおいてメラノサイト細胞死のCa2+イオン、pHイメージングを行っていく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] IFNγ score-based neoadjuvant immunotherapy for stage III melanoma2023

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Keitaro
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Medicine

      巻: 220 ページ: e20230160

    • DOI

      10.1084/jem.20230160

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Successful management of tumor necrosis factor‐α inhibitor‐induced erythema multiforme by switching to a Janus kinase inhibitor in a patient with rheumatoid arthritis and ulcerative colitis2022

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Sakiko、Fukuda Keitaro、Tanaka Ryo、Funakoshi Takeru、Takahashi Hayato、Amagai Masayuki、Tanikawa Akiko
    • 雑誌名

      The Journal of Dermatology

      巻: 50 ページ: e117-118

    • DOI

      10.1111/1346-8138.16643

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Management and outcomes of hydronephrosis in patients with metastatic extramammary Paget’s disease: A retrospective analysis2022

    • 著者名/発表者名
      Fusumae Takayuki、Fukuda Keitaro、Hirai Ikuko、Nakamura Yoshio、Kobayashi Kenta、Tanese Keiji、Matsumoto Kazuhiro、Iwata Takashi、Funakoshi Takeru
    • 雑誌名

      The Journal of Dermatology

      巻: 49 ページ: 787~791

    • DOI

      10.1111/1346-8138.16407

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Networks of CD8+ T Cell Response Activation in Melanoma and Vitiligo2022

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Keitaro
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 13 ページ: 866703

    • DOI

      10.3389/fimmu.2022.866703

    • 査読あり
  • [学会発表] Hemoglobin A is expressed as a potential endogenous antioxidant in differentiated epidermal keratinocytes2022

    • 著者名/発表者名
      Umi Tahara, Takeshi Matsui, Toru Atsugi, Keitaro Fukuda, Akiharu Kubo, Masayuki Amagai
    • 学会等名
      2022 ESDR Annual Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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