研究課題
申請者らは、表皮にメラノサイトが分布するK14-Scfマウスに、①gp100(メラノサイト抗原の1つ)特異的CD8+T細胞(PMELs)の静注、②放射線照射、③IL-2の腹腔内投与、④gp100ペプチドをパルスした骨髄由来樹状細胞の静注を行うことで、7週後に耳・鼻・足底・尾などに白斑を形成し、尋常性白斑の病理像を呈するマウスの作製に成功している。本研究では、メラノサイトの消失に関与する分子の同定するため、この系に、IFN-γ、TNF-α、FASL、パーフォリンが欠損したPMELsを導入し、尾の皮膚に浸潤するPMELsをフローサイトメトリーで解析した。その結果、IFN-γまたはFASL欠損PMELs投与群は、有意に白斑の発生率が減少し、また発生しても皮膚に浸潤したPMELsの数が少なく、白斑スコアが野生型PMELs投与群と比較し低かった。従来から知られているIFN-γに加え、メラノサイト抗原特異的CD8+細胞のFASLが尋常性白斑におけるメラノサイトの消失に関わることを明らかにした。尋常性白斑の進行に寄与するメラノサイト側の重要な分子を探す目的で、ヒト表皮全層とヒト表皮上層のRNA-seq解析を行なった。その過程で、表皮顆粒層を含む表皮上層において、ヘモグロビンα(HBA)が高発現することを思いがけず発見した。ヒトとマウスの皮膚の免疫組織学的染色を行なった結果、HBAタンパク質は、表皮上層と毛包峡部の角化細胞に発現していた。皮膚特異的な酸化ストレスの紫外線をヒト角化細胞に照射したところ、HBAのmRNA発現が誘導された。siRNAを用いて、HBA mRNAをノックダウンすると、コントロールのヒト角化細胞と比較して、紫外線照射後の活性酸素の産生量が増加した。HBAは紫外線などの酸化ストレスによって誘導され、それらを防御することで、皮膚バリア機能の一端を担っていることが示した。
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Nature Communications
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