研究課題/領域番号 |
21K08358
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
日下部 吉男 帝京大学, 薬学部, 講師 (30338537)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 薬疹 / 構造解析 / HLA / 立体構造 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、HLA-B*13:01を持つ人がDIHSを引き起こす薬物を服用してもアレルギー反応を起こさないペプチド様医薬品開発の指針を得ることである。そこで本研究ではまず、HLA-B*13:01単独構造およびHLA-B*13:01-アロプリノール複合体、フェノバルビタール複合体の立体構造をX線結晶構造解析の手法を用いて明 らかにすることを目指している。多くのHLAはβ2-Microglobulinとの複合体での立体構造解析が行われているため、本研究に関しても大量のHLA-B*13:01およびβ2-Microglobulinが必要であると考えられる。そこで、HLA-B*13:01およびβ2- Microglobulinの大量発現の最適化条件の検討を行った。 HLA-B*13:01に関しては大量培養後、尿素で可溶化し、TALONカラムを用いた金属アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーの2種類のクロマトグラフィーを行うことでSDS-PAGE上、単一バンドのHLA-B*13:01を得ることに成功した。しかし、未だに精製したβ2-Microgloblinが得られていないので、大量にβ2-Microgloblinを得るために、様々な発現ベクター中にβ2-Microgloblin遺伝子を組み込んだβ2-Mcrogloblin発現ベクターを作成した。大量培養後、TALONカラムを用いた金属アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーの2種類のクロマトグラフィーを行うことでSDS-PAGE上、単一バンドのβ2-Microglobulinを得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HLA-B*13:01およびβ2-Microglobulinの大量精製を行っている。両タンパクともに尿素を用いた可溶化が必要である。両タンパク質ともに大腸菌を用いて大量発現を確認することができた。大量発現後、尿素で可溶化後、PBSでの透析を行う際に、多くのタンパク質が不溶性画分に行ってしまうために、大量に精製することが出来なかった。そこで、大量にHLA-B*13:01およびβ2-Microgloblinを得られる最適な発現条件、精製条件を確立するために、様々な発現ベクター中にHLA-B*13:01およびβ2-Microgloblin遺伝子を組み込み、発現ベクターを作成した。
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今後の研究の推進方策 |
HLA-B*13:01の構造解析を目指しており、構造解析を行うためには、大量のHLA-B*13:01およびβ2-Microglobulinが必要である。そこで、両タンパクを大量に精製するために、最適な発現条件、精製条件等、さらなる条件検討が必要となるため、本年度中に最適な発現条件、精製条件を確立するために、様々な発現ベクター中にHLA-B*13:01およびβ2-Microgloblin遺伝子を組み込み、発現ベクターを作成した。今年度は、大量発現条件と精製条件を確立し、大量に精製したHLA-B*13:01およびβ2-Microgloblinを用いて結晶化条件の探索を行いたい。様々な学会で同業者と意見交換したところ、HLA-Bはタンパク質の安定性が悪く、結晶化が難しいと言われているようなので、X線結晶構造解析だけでなく、結晶化を経ないで構造解析を行うことができる、cryo電子顕微鏡を用いた構造解析を試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、ランニングコストが最もかかるHLA-B*13:01およびβ2-Microgloblinの大量発現・大量精製を行う予定であったが、大量発現することができなかったため、発現系の構築行うことに終始した。今年度は、ランニングコストが最もかかるHLA-B*13:01およびβ2-Microgloblinの大量発現・大量精製を行うため、今年度の経費に持ち越した。
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