HLA-B*13:01(13:01)単独構造とHLA-B*13:01-アロプリノール複合体構造およびHLA-B*13:01-フェノバルビタール複合体構造のX線結晶構造解析を行うために、13:01の大腸菌大量発現系の構築を北海道大学田所高志博士のご協力の下に行った。また、HLA-B*13:01の結晶化および親和性測定実験を行うためにはβ2-Microglobulin(β2M)も大量に必要なため、β2Mに関しても大腸菌発現系を構築した。両タンパク質共に、ProS2タグ有り及びタグなしの発現ベクターにクローニングを行った。発現量を比較した結果、13:01、β2M共にタグなしの発現系で、より多くの発現が確認できたが、13:01についてはProS2タグ有りの方が不純物を取り除くのに適していたため、大量精製は13:01についてはProS2タグ付き、β2Mについてはタグなしで進めた。両タンパクを別々に大量発現、大量精製を実施後、両タンパク質を混合し、Superdex 200pgを用いたゲルろ過クロマトグラフィーを行った結果、X線結晶構造解析を行える量の複合体を得ることができなかった。そこで、13:01の三次元構造をModeller及びAlphaFoldを用いて構築し、アロプリノール及びフェノバルビタールとの結合様式をAutoDock vinaを用いて予測し、MD計算を行った。その結果、薬疹を引き起こす薬物に対する13:01の認識機構を明らかにすることができた。また、ペプチド結合部位の構造変化が確認できたが、薬疹を止めるペプチド化合物のモデル構築まで進むことができなかった。今後はin silicoで得られた構造から、薬疹を止める新規ペプチド化合物のモデルを構築し、実験的に結合強度を明らかにしたい。
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