研究課題
再生不良性貧血(aplastic anemia : AA)、低リスク骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄不全型発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)では、HLADR15の保有率が高いことが知られている。特にHLA-DRB1*15:01は、シクロスポリン(CsA)依存性のAA患者で特に高頻度にみられる。このDRB1アレルは、自己免疫性造血不全の発症メカニズムに深く関与していると考えられるが、どのようにして造血不全の発症に寄与しているのかは分かっていない。我々は最近の研究により、HLA-DR15を保有するCsA依存性AA患者の末梢血造血幹前駆細胞(HSPC)では、HLA-DRの欠失が高頻度に見られることを見出した。このDR欠失は、インターフェロンγ存在下での培養により完全に回復することから、エピジェネティックな機構によるものであると考えられた。同様の現象は、同種造血幹細胞移植後再発の急性骨髄性白血病細胞においても報告されていることから、DRの欠失は、HSPCがDR15が提示する自己抗原特異的CD4T細胞からの攻撃を免れるための逃避現象である可能性がある。以上のことから、HLA-DR15陽性CsA依存性AA患者では、HLA-DR15拘束性にHSPCを傷害するCD4陽性T細胞が存在している可能性が高い。現在、HLA-DR15陽性CsA依存性AA患者を対象にCD4陽性T細胞のレパトア解析を行い、抗原特異的T細胞クローンの同定を試みている。
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