研究課題/領域番号 |
21K08368
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松田 和之 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (00647084)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | JMML / ゲノム編集 / iPS細胞 / メチル化解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、PTPN11変異によるメチル化調節機構の解明することである。これまでにPTPN11変異の有無のみ異なるJMML由来iPS細胞を樹立・作製しているため、直接的にPTPN11変異によるメチル化への影響・機構を解析できる最適な研究試料を使用して研究が遂行できる。2021年度については、当初、すぐに、これらのiPS細胞から抽出したゲノムDNAを使用し、網羅的メチル化解析(ビーズアレイ)を受託解析する予定でいた。しかし、網羅的メチル化解析(ビーズアレイ)に適した高濃度ゲノムDNAの回収が難しく、iPS細胞からのCD34陽性細胞分化を高効率にする必要があった。また、網羅的メチル化解析の再現性(遺伝子変異有無との直接的関連性の確証も含め)を確証するために対象試料を増加しなければならず、受託解析見積額が2021年度助成金額を超えてしまっていた。そのため、2022年度の助成金と併せて網羅的メチル化解析を進める予定とした。 2021年度の研究成果(iPS細胞からのCD34陽性細胞分化誘導の高効率化の検討については、既に購入済みであった試薬、消耗品を使用して検討を進めた。):CD34陽性細胞分化誘導時に使用する4種類のサイトカインについて、改めて、添加順序、濃度、日数を検討した。添加順序と分化日数は従前とし、4種類のサイトカイン濃度について1.5倍量を使用することでCD34陽性細胞数が増えることを確認した。さらに、CD34陽性細胞を剥離回収する際のピペット操作を繰り返すことで、より細胞を分散化でき、その後の磁気ビーズを用いた細胞分離による回収細胞数が増加することが確認できた。 サイトカイン量の増量、操作面での工夫を行ったことで、より多くのCD34陽性細胞を回収できることが分かったため、今後、網羅的メチル化解析を進められると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
①iPS細胞から網羅的メチル化解析に適した高濃度ゲノムDNAの回収が難しく、改めてサイトカイン添加順序、濃度、分化日数の検討などを行ったため。 ②受託解析予定である網羅的メチル化解析(ビーズアレイ法)について、再現性確証(遺伝子変異有無との直接的関連性の確証も含め)のために解析対象試料を増やす必要があり、受託費用(見積額)が2021年度助成金額を超えてしまい、2022年度の助成金と併せて解析したいと考えたため。 ①の遂行には既に購入済みであったサイトカインや消耗品を使用し、検討を進めた。②の理由により、網羅的メチル化解析を実施できなかったため、「遅れている」と判断した。次項の研究推進方策に従い、早期に検討を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の検討に従い、iPS細胞からCD34陽性細胞を分化する際の4種類のサイトカイン濃度を各1.5倍量に増加し、さらに、回収時のピペットでの剥離と分散操作を繰り返すことにより回収細胞数を増加させることで、高濃度のゲノムDNAを回収できるようにする。 その後、PTPN11変異陽性iPS細胞とその遺伝子変異を修復改変したiPS細胞、PTPN11変異陰性iPS細胞とそれに変異を導入したiPS細胞の4種類より、CD34陽性細胞を分化誘導し、高濃度のゲノムDNAを回収し、網羅的メチル化解析(ビーズアレイ)を受託解析する。 網羅的メチル化解析の結果に応じて、メチル化に変化のあった遺伝子について、個別にmRNA発現量変化など詳細な解析を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2種類のiPS細胞のみで網羅的メチル化解析を計画していたが、再現性(変異有無での直接的証明を含め)を確証するためには、さらに、解析数を増やすことが必要になった。そのため、受託解析見積額が2021年度助成金額を超えてしまった。網羅的メチル化解析が本研究の主目的であるため、2022年度の助成金と併せて網羅的メチル化解析を進める予定とした。なお、2021年度に検討の必要があった、網羅的メチル化解析に適した高濃度ゲノムDNAの回収に関する検討では、研究室において既に購入済みのサイトカインや消耗品を使用し、高効率かつ高回収できるプロトコールを確立した。
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